2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Law Practise 民法ⅠNo.28:物と添付

1.厨房設備について (1)A→Bの請求 ア.Stg:民法608条2項に基づく有益費償還請求 イ.Kg:①賃貸借契約の成立 ②①に基づく引渡し ③賃貸物価値を増加させたこと ④賃借人の支出 ⑤賃貸借の終了原因事実 ⑥賃貸人の選択(支出額 or 増加額) ⑦支出額 or 増加額 …

Law Practise 民事訴訟法 基本問題16:弁論準備手続(答案構成のみ)

第1.設問(1) 1.弁論準備手続=「争点及び証拠の整理を行うため」(168)、口頭弁論前に当事者双方がその主張・証拠をあらかじめ提出して争点・証拠を審理するため特別な期日を開き協議する手続き ➡当事者双方の立ち会いを保障(169Ⅰ)+原則非公開(169Ⅱ…

Law Practise 商法 No.17:新株の有利発行

1. XらのYに対する新株発行の差止請求(210条)は認められるか。 新株発行の差止請求が認められるためには、①210条1号・2号事由の存在および②株主が不利益を受けるおそれが必要である。 2.①について (1)法令又は定款に違反について(210条1号) ア.第三…

Law Practise 民法Ⅰ No.27:物権的請求権

1.A→Bの請求 (1)Stg:所有権に基づく妨害排除請求 + 妨害予防請求 (2)Kg:①Aの所有権 ②妨害の存在(及びその危険) 2.Bの反論:Cの行為(=Bの行為でない) ⇒物権的請求権の法的性格と関連して問題 (1)物権的請求権は物の侵害者に対して物に対する…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題15:時機に遅れた攻撃防御方法

第1.本問 1. Yは、建物買取請求権(借地借家法14条 )を訴訟上行使しているが、集中証拠調べ終了時点になされており、時機に後れた攻撃防御方法(157条1項)により却下されないか。 2. 157条は、当事者が①「故意又は重大な過失により」②「時機に後れて提…

Law Practise 商法 No.16:違法な自己株式取得の効力

No.16:違法な自己株式取得の効力 第1.設問(1) 1. Yは、Xに対し本件自己株式取得の無効主張をなしうるか。 2. 特定の株主からの自己株式の取得には、①株主総会の特別決議(160条1項、309条2項2号)及び②株主への通知(160条2項)が必要であるところ、X…

Law Practise 民法ⅠNo.26:保証と時効

第1.設問(1) 1.S→Bの請求 (1)Stg:保証契約に基づく保証債務履行請求権 (2)①主債務の発生原因事実 ②保証契約 ③書面 2.Bの反論:保証債務の時効消滅 ➡しかし、保証債務の一部弁済 ⇒時効利益の放棄 3.Bの反論:主債務の時効消滅(商法522) ➡しかし…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題14:訴え取下げの合意

第1.設問前段 1. XY間の和解契約により、訴え取り下げの合意がなされている。このような訴え取下げの合意は、管轄の合意(11条)と異なり、明文の規定を欠くことから、その適法性が問題となる。 (1) 民事訴訟は、多数の事件を円滑・迅速に処理するため訴…

Law Practise 商法 No.15:契約による株式の譲渡制限

1. 127違反の有無 (1) 株主は、その有する株式を自由に譲渡することができるのが原則である(株式讓渡自由の原則・127条)。 Y社は従業員持ち株制度を採用し、本件合意により譲渡先とその価額を制限している(契約による株式譲渡制限) かかる合意は、127…

Law Practise 民法Ⅰ No.25:時効利益の放棄・喪失

1.X→Y:請求異議の訴え(民執35)…Kg:消滅時効援用(145) 2.Yの反論:Xが猶予を申し入れ →時効利益の放棄(146) (1)時効完成を知っていた場合:甲の申入れは時効の利益を享受しないという意思表示 ➡時効利益の放棄となる(146反対解釈) (2)時効完…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題6:引換給付判決と処分権主義

第1.設問(ⅰ) 1. 処分権主義とは、訴訟手続の開始・審判対象の特定・訴訟の終結などについて当事者の自主的判断に委ねる建前であり、その趣旨は、①訴訟外では私的自治の原則が妥当するところ、私的紛争の公権的解決手段たる民事訴訟法上でも当事者の意思…

Law Practise 商法 No.14:定款による株式の譲渡制限

第1.設問(1) 1. X社のY1社に対する株主の地位不存在確認請求は認められるか。 2. X社は定款で譲渡制限が設けられていたことから、CからY1社に対するX社取締役会の承認を欠く株式譲渡の効力が問題となる。 (1) 株主の投下資本の回収を図る必要性がある…

Law Practise 民法ⅠNo.24:時効中断

第1.設問(1) 1.A→Bの請求 (1)Stg:消費貸借契約に基づく貸金返還請求権 (2)Kg:①返還(及び期限)の合意 ②金銭の交付 ③弁済期の到来 2.Bの反論:消滅時効(Kg:①一定期間の経過 ②消滅時効の援用) (1)Aの再反論:催告(153)➡確定的に中断してい…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題12:訴訟物

第1.設問(1) 1. 原告Aは、治療費100万円、逸失利益800万円および慰謝料300万円の合計1200万円の支払いを求めている。これに対し、裁判所は、治療費50万円、逸失利益500万円および慰謝料450万円の合計1000万円の支払い(判決事項)を命じる判決をすること…

Law Practise 商法 No.13:個別株主通知(構成のみ)

1.X:価格決定の申立て(117Ⅱ) →Y社の反論:個別株主通知(保振147Ⅳ、154Ⅲ-Ⅴ)なし 2.価格決定の申立てが「少数株主権等」(147Ⅳ)に含まれるか? (1)「少数株主権等」=集団的権利行使がなされる場合以外の権利 ∵権利行使者確定方法が総株主通知と個別…

Law Practise 民法ⅠNo.23:賃借権の時効取得

1.X→Yの請求 (1)所有権に基づく返還請求権としての建物収去土地明渡請求権 (2)①Xの所有 ②Yの占有 2.Yの反論:賃借権(占有権原) ➡× ∵Xは当事者ではない 3.Yの反論:賃借権の時効取得 (1)原則:通常債権は一時的もしくは断続的給付が目的であり、永…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題5:二重起訴と相殺の抗弁

第1.設問(1)―抗弁先行型 1. Bが本訴において相殺の抗弁に供した債権に基づいて別訴を提起することは重複起訴の禁止(142条)に抵触しないか。 2. 142条の趣旨は、①被告の応訴の負担、②訴訟不経済、③判決の矛盾のおそれの回避にある。 そして、本件のよ…

Law Practise 商法 No.12:名義書換の未了

第1.設問(1) 1. Aは、Y社に対し、本件割当撤回の無効を主張し、株式の交付請求は認められるか。 2. Aは、自己の株式をBに譲渡しており、株主名簿の名義書換は未了である。そこで、AがY社に対し、株主の地位を対抗しうるかが問題となる。 (1) Y社は株…

Law Practise 民法ⅠNo.22:消滅時効と除斥期間

1.X→Yの請求 (1)Stg:不法行為に基づく損害賠償請求権 (2)Kg:①権利侵害 ②故意・過失 ③損害の発生 ④因果関係 2.Yの反論:時効消滅 ∵「不法行為の時から20年を経過」(724後段) (1)Xの再反論:債務承認(147)➡時効中断 (2)本条後段の規定は、不法…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題11:任意的訴訟担当

1. AのB損保会社(以下、Bとする)に対する保険金支払請求訴訟において、Aがユーザーのために当事者として訴訟追行する手段としては、①明文のある任意的訴訟担当である選定当事者(30条)および②明文のない任意的訴訟担当による場合が考えられる。 以下、そ…

Law Practise 商法 No.11:利益供与

第1.設問(1) 1. Xは、A社より利益供与を受けた筆頭株主Zの議決権行使により成立した本件決議に「株主総会等の…決議の方法」の法令違反(831条1項1号)にあたるとして、株主総会等の決議の取消しの訴えを提起することが考えられる。 以下、法令違反の有無…

Law Practise 民法ⅠNo.21:無権代理と相続

第1.売買契約に基づく履行請求 1.有権代理 (1)X→Aの請求 ア.Stg:売買契約に基づく目的物引渡請求権 イ.Kg:①代理行為 ②顕名 ③代理権授与 (2)Aの反論:代理権授与なし(無権代理) ➡ 追認拒絶 ア.Xの再反論:追認拒絶不可 ∵無権代理人の地位と本人…

憲法のテキストについて

先日、学部生から憲法のテキストについて相談されました。 どうも、芦部先生の「憲法」に不安があるみたいです。おそらく、記述が薄い部分があること、そして芦部憲法の劣化コピーである「人権パターン」が使えなくなったことで論文の勉強にも使えないと思う…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題4:確認の利益(2)―敷金返還請求権

1. XのYに対する保証金返還請求権確認訴訟は適法か。訴えの利益の有無が問題となる。 2. 訴えの利益とは、本案判決をすることの必要性・実効性を個々の請求について審査するための訴訟要件であり、対象が無限定、判決に執行力がなく、紛争解決方法として迂…

Law Practise 商法 No.10:株主平等の原則

第1.設問(1) 1. Xは、Yに対し、本件契約に基づく金員支払請求をなしうるか。本件契約は大株主であるXに対してのみ金員を支払うことを内容としているものであるから、株主平等原則(109条1項)に反し無効とならないかが問題となる。 2. 株主平等原則とは…

Law Practise 民法ⅠNo.20:表見代理・109条と110条の重畳適用

第1.有権代理構成 1.X→Yの請求 (1)Stg:交換契約に基づく所有権移転登記請求権 (2)Kg:①代理行為 ②顕名 ③代理権の授与 2.Yの反論:Bへの代理権授与なし 3.結論:Yの追認(115)なき限り請求不可 第2.表見代理構成 1.X→Yの請求 (1)法的構成:本件…

司法試験・予備試験の行政法テキストについて

行政書士試験用の行政法テキストの話のついでに、司法試験・予備試験用の行政法テキストについて書きます。 まず、基本書。 橋本博之・桜井敬子著「行政法」については前にも書きました。また、塩野宏著「行政法」Ⅰ〜Ⅲや宇賀克也著「行政法概説」Ⅰ〜Ⅲ は言わ…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題9:確認の利益(1)―遺言無効確認の訴え

第1.設問前段 1. X1のYに対する遺言無効確認の訴えは適法か。①当事者適格および②訴えの利益の有無が問題となる。 2.原告適格の有無 (1) 本件では、X1のみが提訴しているが、かかる提訴は適法か。遺言無効確認の訴えは固有必要的共同訴訟にあたらないか…

Law Practise 商法 No.9:全部取得条項付種類株式

第1.設問(1) 1.Xの地位 (1) Y社は、種類株式発行会社でない。しかし、このような会社でも、①種類株式発行のための定款変更決議(108条1項7号、466条、309条2項11号)、②取得価額決定方法(171条1項1号)を定める定款変更決議(108条2項7号、466条、309…

Law Practise 民法ⅠNo.19:表見代理−110条

第1.有権代理 1.X→Yの請求 (1)Stg:保証契約に基づく保証債務履行請求権 (2)Kg:①代理行為(❶主債務の発生原因 ❷保証契約を書面で締結)②顕名 ③代理権の授与 2.Yの反論:代理権授与なし 3.結論:Yの追認(115)なき限り請求不可 第2.表見代理(110…