2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Law Practise 商法 No.28:株主総会決議取消しの訴え

第1.設問(1) 1. 株主総会の招集に際し、取締役は株主に対してその通知を発しなければならないところ(299条1項)、本件総会の招集通知は、C・Dに召集通知発せられなかった。このことが召集手続きの法令違反(831条1項1号)にあたるとして、Xは、Yに対し…

Law Practise 民法Ⅰ No.41:共有物の分割

1.E→A・C・D:共有物分割請求(256Ⅰ) 2.共有物の分割には持分権の存在が必要 ➡論点:共有の性質 (1)共有の種類 ①合有(ex.組合):潜在的な持分 ⇒分割請求権の制限(676Ⅱ) ②総有(ex.権利能力なき社団):持分なし ③共有(狭義):持分権あり ⇒各共…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題22:訴訟手続の中断・受継

1. 本件において、控訴審裁判所はいかなる措置をすべきか。第1審係属中日本政府が行ったX国に代えてZ国を承認した本件国家承認により当事者の変動が生じたか、中断・受継の必要があったかが問題となる。 2.当事者変動の有無 (1) 当事者の確定基準につい…

Law Practise 商法 No.27:委任状勧誘

1. Xは、Yに対し、以下の理由に基づき本件決議の議取消しの訴え(831条1項)を提起する。 (1) 議決権の代理行使の勧誘は、代理権の授与に関し参考となるべき事項として内閣府令で定めるものを記載した書類を交付しなければならないところ(金商法施行令(…

Law Practise 民法Ⅰ No.40:共有物と登記

1.X→Y:共有持分権に基づく持分移転登記抹消登記請求 2.Yの反論 (1)Yが持分権を譲り受けたのは代物弁済に基づく(有効に取得→不法占拠者でない) ➡代物弁済契約は公序良俗違反(90条)であり無効 ∵賭博による借金返済が目的 cf.貸与される金銭が賭博の…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題21:自白の撤回

1. Yの代理人Aは、Xの主張を認める陳述をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、自白者は原則として自白と矛盾する内容の陳述をすることが許されなくなることから(不可撤回効)、①裁判上の自白の成否、②撤回の可否が問題となる。 2.①…

Law Practise 商法 No.26:株主提案権

第1.本件取締役会提出議案可決を争う場合 1. 株主には、議題提案権(303条)、議案提案権(304条)および議案通知請求権(305条)が認められているところ、Xが行った本件定款変更提案をYは303条・305条に従い、本件総会の議題とし、議案の要領を招集通知に…

Law Practise 民法Ⅰ No.38:即時取得(193条・194条)

第1.盗品の回復請求 1.Aの請求 (1)A→D:所有権に基づく返還請求権としての動産引渡請求 (2)Kg:①Xの所有 ②Yの占有 2.Dの反論 (1)即時取得(192)…Kg:①前主との取引行為(CD間の売買)②①に基づく引渡し (2)再反論:本件機械が盗品であること(193…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題20:権利自白

1. Yは、包括的一般的過失の存在を認める陳述(以下、本件陳述)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、裁判所は証拠調べをすることなく…

Law Practise 商法 No.25:取締役の説明義務

1. Xは、Yに対し代表取締役Dの説明義務(314条本文)違反が決議方法の法令違反であることを理由に株主総会決議取消しの訴え(831条)を提起する。かかる訴えは認められるか。 2. これに対し、Yは、Xの質問事項がABCのプライバシー侵害になり、「株式会社そ…

Law Practise 民法Ⅰ No.37:即時取得(192条)

1.A→Cの請求 (1)A→C:所有権に基づく返還請求権としての動産引渡請求 (2)Kg:①Xの所有(占有)②Yの占有 2.Cの反論:即時取得(192) (1)Kg:①取引行為による取得 ②引渡し (2)Aの再反論:①悪意 or 有過失 (3)Aの再反論:引渡しの有無 ア.B→Cの引…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題19:間接事実の自白

1. Xは、XA間の売買の事実に関する自白(以下、本件自白)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、①裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、②自白者は原則として自白と矛盾する内…

Law Practise 商法 No.24:議決権行使の代理人資格の制限

1. Yは、その定款に議決権行使の代理人資格を株主に限定する規定を有するところ、Yの株主であるAがその娘Bに代理権を授与して議決権を行使させたことが「決議の方法が…定款に違反」(831条1項1号)に当たるとして、Xは、Yに対し本件株主総会決議取消しの訴…

Law Practise 民法Ⅰ No.36:民法177条の第三者の範囲

1.X1→Y1の請求 (1)Stg:所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求 Kg:①A元所有 ②A→X1の譲渡(登記具備) ③Y1占有 (2)Y1の反論:対抗要件の抗弁不可(未登記) (3)Y1の反論:X1は悪意 →「第三者」(177)にあたらない ア.「第三者」(177)=当…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題18:釈明義務

1. 本件はX署名部分の成立の真正が重要な争点であるところ、控訴審は、かかる重要な書証の成立について釈明権の行使をせずに第1審の判断を覆した点に釈明義務違反があるか。 2. 民訴法は事件の内容をなす事実関係や法律関係を明らかにするため、当事者に対…

Law Practise 商法 No.23:全員出席総会

第1.設問(1) 1.訴えの選択(設問前段) (1) Xとしては、本件決議には招集手続きに関する重大な法令違反があることを理由に株主総会決議不存在確認の訴え(830条1項)を提起することが考えられる。 (2) そこで、本件決議に決議不存在事由が存在するか…

Law Practise 民法Ⅰ No.35:遺産分割と登記

1.X→Yの請求 (1)Stg:Xの持分に基づく更正登記請求権 (2)Kg:①A所有 ②A死亡 ③X・BはAの子 ④Yの登記 2.Yの反論:Xの未登記(Y登記具備) (1)Xの再反論:Yは無権利者からの譲受人:遺産分割の効果は遡及(909本文) ➡Bは当初から土地を相続していなか…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題20:権利自白

1. Yは、包括的一般的過失の存在を認める陳述(以下、本件陳述)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、裁判所は証拠調べをすることなく…

Law Practise 商法 No.22:閉鎖会社における新株発行の無効事由

1. XがYに対して提起した新株発行無効の訴え(828条1項2号)は認められるか。 2. 新株発行の無効は、原則として誰でもいつでも無効主張できるはずである。しかしながら、同号は無効事由を明記していない。そこで、本件のような非公開会社における株主総会…

Law Practise 民法Ⅰ No.34:共同相続と登記

1.B2・B3→B1の請求 (1)Stg:持分に基づく抹消登記請求権 Kg:①A所有 ②A死亡 ③B2・B3はAの子 ④B1の登記 (2)E:B1もAの子 (3)R:B1遺産分割協議書の無断作成 →B1無権利者 ア.相続財産=「共有」(898)+ 共有者は持分に応じて使用(249) イ.B1は持…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題19:間接事実の自白

1. Xは、XA間の売買の事実に関する自白(以下、本件自白)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、①裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、②自白者は原則として自白と矛盾する内…

Law Practise 商法 No.21:新株発行の無効事由

1. Xは、Yに対し、新株発行無効の訴え(828条1項2号)を提起することが考えられるところ、同号は無効事由を明記していないことから、その判断基準が問題となる。 株式発行に暇疵がある場合、原則として誰でもいつでも無効主張できるはずである。しかし、設…

Law Practise 民法ⅠNo.32:取得時効と登記①

1.A→Dの請求(本訴) (1)Stg:土地所有権確認請求 + 所有権移転登記請求 (2)Kg:①1989.1.27占有 ②20年経過 ③時効の援用 2.Dの反論:「他人の物」(162Ⅰ)→自己の物に取得時効不成立 ➡時効制度の趣旨:永続する事実状態の尊重 →社会生活の安定を図る ➡…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題18:釈明義務

1. 本件はX署名部分の成立の真正が重要な争点であるところ、控訴審は、かかる重要な書証の成立について釈明権の行使をせずに第1審の判断を覆した点に釈明義務違反があるか。 2. 民訴法は事件の内容をなす事実関係や法律関係を明らかにするため、当事者に対…

Law Practise 商法 No.20:有利発行・不公正発行と取締役の責任

第1.設問(1) 1. Xは、Yに対し株主代表訴訟(847条1項)により任務懈怠責任(423)に基づく損害賠償請求は 認められるか。 2. そこで、Yが「任務を怠った」といえるかが問題となる。 (1) 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条)および忠実義務(3…

Law Practise 民法Ⅰ No.31:解除と登記

1.X→Y (1)Stg:所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権 (2)Kg:①X所有 ②Y抵当権設定登記の存在 2.Yの反論:X→Bの売買(所有権喪失の抗弁) (1)X:契約解除の再抗弁 (2)直接効果説:解除によって契約に基づく法律関係が…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題8:弁論主義(2)

1. XのYに対する消費貸借契約に基づく貸金支払請求訴訟において、裁判所が当事者の主張していない事実(公序良俗違反)を認定することは弁論主義違反とならないか。 2. ここで、弁論主義とは裁判の基礎となる事実の確定に必要な資料(訴訟資料)の収集・提…

Law Practise 商法 No.19:新株・新株予約権の不公正発行

第1.設問(1) 1. XによるYの新株発行の差止請求(210条)は認められるか。 新株発行の差止めの要件は、①210条1号・2号列挙事由の存在および②株主が不利益を受けるおそれがあること(210条柱書)である。以下、各要件について検討する。 2.①について (1…

Law Practise 民法Ⅰ No.30:取消しと登記

1.X→Yの請求 (1)Stg:所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権 (2)Kg:①Xの所有 ②Yの所有権移転登記の存在 2.Yの反論:X→Bの売買契約(所有権喪失の抗弁) (1)詐欺取消し(96Ⅰ) (2)詐欺取消し →売買契約は遡及的無効(…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題17:弁論主義(1)

1. XのYに対する共有持分権に基づく所有権移転登記請求訴訟において、裁判所が当事者の主張していないAB間の死因贈与事実を認定することは、弁論主義違反とならないか。 2. ここで、弁論主義とは裁判の基礎となる事実の確定に必要な資料(訴訟資料)の収集…