Law Practise 民法Ⅱ No.18:賃貸目的物の所有権の譲渡

第1.設問1

1.XのYに対する建物収去土地明渡請求

(1)Stg:所有権に基づく建物収去土地明渡請求権

(2)Kg

①A元所有

②AXの売買契約

③Yの甲土地占有

2.Yの抗弁

(1)占有権原の抗弁

Kg:①AYの賃貸借契約

②①に基づく引渡し

③Yの対抗要件具備(借地借家法10条)

(2)対抗要件の抗弁:Xの対抗要件具備まで賃貸人と認めないとの権利主張

  ➡本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有する者は本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しない限り、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない(最判昭49・3・19民集28-2-325)。

第2.設問2

1.XのYに対する賃料支払請求

(1)Stg:賃貸借契約に基づく賃料支払請求権

(2)Kg

①AYの賃貸借契約

②①に基づく引渡し

③Yの対抗要件具備

④A元所有

⑤AXの売買契約

⑥賃料支払期限到来

2.Yの抗弁

(1)賃貸人の地位の移転に合意していない:契約上の地位の移転であり、三者間の合意が必要

 ア.譲渡人・譲受人間での移転:賃貸借関係が賃貸目的物の所有権と結合する一種の状態債務関係として所有権とともに移転する(我妻)

cf.自己の所有建物を他に賃貸している者が賃貸借継続中に右建物を第三者に譲渡してその所有権を移転した場合には、特段の事情のないかぎり、借家法1条の規定により、賃貸人の地位もこれに伴つて右第三者に移転するものと解すべき(最判昭39・8・28民集18-7-1354)

イ.賃借人の合意の要否(譲受人・賃借人間での有効性):賃貸借契約における賃貸人の地位の譲渡は、賃貸人の義務の移転を伴なうものではあるけれども、賃貸人の義務は賃貸人が何ぴとであるかによつて履行方法が特に異なるわけのものではなく、また、土地所有権の移転があつたときに新所有者にその義務の承継を認めることがむしろ賃借人にとつて有利であるというのを妨げないから、一般の債務の引受の場合と異なり、特段の事情のある場合を除き、新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、賃借人の承諾を必要とせず、旧所有者と新所有者間の契約をもつてこれをなすことができると解するのが相当である。(最判昭46・4・23民集25-3-388)

(2)対抗要件の抗弁:Xの対抗要件具備まで賃貸人と認めないとの権利主張

  ➡①本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有する者は本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しない限り、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない(最判昭49・3・19民集28-2-325)。

   ②二重払いの危険の回避

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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