Law Practise 民事訴訟法

Law Practise 民事訴訟法 基本問題48:上訴の利益 (構成のみ)

1.X→Y:所有権移転登記抹消登記請求訴訟(Kg:売渡担保・債務弁済→E:売買) ➡Y勝訴(売渡担保・債務未弁済)➡問題:Yの控訴の可否…上訴の利益の有無 2.上訴の利益の有無の判断基準 (1)判断基準 ア.実体的不服説:当事者が控訴審において第1審判決より…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題46:訴訟承継の範囲

1. XのYに対する賃貸借契約解除に基づく建物収去土地明渡請求訴訟係属中に被告Yが死亡しているところ、訴訟手続続行しうるか。当然承継の有無の有無が問題となる。 (1) ここで、当然承継とは、当事者の死亡・法人の合併など一定の承継原因が生じれば、当…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題44:参加的効力

1. 補助参加に係る訴訟の判決は、補助参加人に対してもその効力を有するとされるところ(46条柱書)、Xが補助参加したAY間の確定判決(Y敗訴)の効力は、XのYに対する賃貸借契約に基づく賃料支払請求訴訟・賃料相当額の損害賠償請求訴訟に及ぶか。「効力」…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題43:補助参加の利益

第1.B・Cの参加の可否 1. XのYに対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟(以下、本件訴訟)にB・Cが被告側に参加(補助参加・42条)しうるか。 2. B・Cの参加の申し出が認められるためには、B・Cが「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」(42条)…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題18:類似必要的共同訴訟

第1.設問前段 1. X1〜X3がA県に対して提起した損害賠償請求(住民訴訟)とX4〜X6がA県に提起した同様の訴訟は、別個に進行させることが許されるか。 2. 訴訟を別個に進行させることが許されるかは合一確定が要請されるか、すなわち本件訴訟が「共同訴訟人…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題17:固有必要的共同訴訟(2)

1. 合一確定の必要があり、かつ、共同訴訟とすることが法律上強制される訴訟を固有必要的共同訴訟(40条1項)という。 本件において、X1〜X25(以下、Xら)は、Yに対し入会権確認の訴え(以下、本件訴訟)を提起しようとしているところ、Xら同じく入会集団…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題41:主観的予備的併合(同時審判申出共同訴訟)

1. XのY1に対する所有権移転登記請求訴訟とXのY2に対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟は、Y1・Y2それぞれに対し別個に訴訟を提起可能である。しかし。それでは、Xにとって煩雑であるばかりか、紛争の統一的解決も図ることができず、Y1に対する請求では…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題40:共同訴訟人独立の原則

1. Xが併合提起しているY1、Y2およびY3に対する訴訟は、それぞれ建物退去土地明渡請求、賃料相当額の金銭支払請求そして建物収去土地明渡請求であり、「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」(40条)にあたらず、必要的共同訴訟とならない。…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題16:主観的追加的併合

1. Xは、Y1に対する損害賠償請求訴訟係属中、Y2を被告に追加することをなしうるか。このばあい、Xによる別訴提起する方法が考えられるところ、かかる方法は、Xにとって煩雑であり、従来の訴訟資料をXZ間の訴訟で用いることができないという不都合がある。 2…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題39:訴えの変更

1. Xは、甲家屋の引渡しおよび所有権移転登記請求(旧請求)を履行不能による損害賠償請求(新請求)に変更することを申し立てている。このような訴えの交換的変更は認められるか。 (1) 訴えの交換的変更の要件についてはその法的性格と関連して問題とな…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題38:和解契約の解除  

1. Xは、XY間の訴訟上の和解を解除しうるか。 (1) 訴訟上の和解は、和解調書に記載されると「確定判決と同一の効力」を生じるから(267条)、これを債務名義として強制執行をすることが可能である(民事執行法22条7号) (2) また、裁判上の和解も和解契…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題37:訴訟上の和解の効力

1. Xは、XY間の訴訟上の和解が錯誤により無効であることを主張しうるか。訴訟上の和解が和解調書に記載されると、「確定判決と同一の効力」(267条)が生じるとされるところ、既判力も含まれるかが、問題となる。 (1) 法文上「確定判決と同一の効力」とさ…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題36:訴えの取下げ・再訴の禁止

第1.再訴の可否 1. Xは、Yに対する控訴係属中、第1審の終局判決後に訴え取り下げた後、再度訴えを提起している。かかる訴えの提起は、再訴の禁止(262条2項)に抵触しないか。 2. 以下、Xの再訴が「同一の訴え」にあたらないかについて検討する。 (1) …

Law Practise 民事訴訟法 基本問題35:反射効

1. XのZに対する保証債務履行請求訴訟(後訴)において前訴(XのYに対する貸金返還請求訴訟)請求棄却判決の援用をなしうるか。前訴の確定判決の既判力が後訴に及ぶかが問題となる。 2. ここで、既判力とは、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題34:口頭弁論終結後の承継人

1. XのAに対する本件土地の所有権移転登記請求訴訟(前訴)の確定判決の既判力が判決後に本件土地を譲り受けたYに対する所有権移転登記請求訴訟(後訴)に及ぶか。 ここで、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する拘束力であり(114条1項)、当事者…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題15:将来給付の増額請求(確定判決の変更の訴え)

1. Xは、前訴(賃料相当額の支払請求)の勝訴判決確定後、現時点での相当賃料相当額と前記認容額との差額を追加請求(後訴)しているが、かかる後訴請求は、既判力に抵触しないか。 2. ここで、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する拘束力であり…

Law Practise 基本問題33:既判力の時的限界

1. Xは、前訴判決確定後に取消権を行使して、所有権移転登記抹消登記請求訴訟(以下、後訴)を提起しうるか。既判力の基準時後の形成権行使の可否が問題となる。 2. ここで、既判力とは、確定判決主文中の判断について生じる拘束力・通用力をいい(114条1…

Law Practise 発展問題14:残部請求と信義則違反

1. Xが3000万円の損害賠償請求権の一部である500万円について請求することは、訴訟物の特定について当事者が自由に決定できるとする処分権主義(246条)から、当然に認められる。 2. では、Xは、上記一部請求の棄却判決確定後、Yに対して、残部2500万円の…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題32:一部請求と残部請求

1. Xが3000万円の損害賠償請求権の一部である500万円について請求することは、訴訟物の特定について当事者が自由に決定できるとする処分権主義(246条)から、当然に認められる。 2. では、Xは、上記一部請求の認容判決確定後、Yに対して、残部2500万円の…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題31:信義則による後訴の遮断

1. Xは、Yに対する前訴の敗訴判決確定後の後訴は、既判力(114条1項)により遮断されないか。前訴判決における理由中の判断である買収処分の有効性に既判力が生じないかが問題となる。 2. ここで、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する拘束力であ…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題30:争点効

1. Yが第1訴訟の控訴審で行った第2訴訟確定判決においてXの主張する詐欺の事実が排斥されているとの主張は認められるか。第2訴訟の確定判決の既判力が第1訴訟に及ぶかが問題となる。 2. ここで、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する拘束力であり…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題13:既判力の客観的範囲

1. X1は、前訴(甲土地の所有権確認および所有権移転登記請求)の敗訴判決確定後に遺産確認請求および共有持分に基づく所有権一部移転請求の訴え(以下、後訴)を提起している。この後訴請求は、既判力(114条1項)に抵触しないか。後訴の訴訟物が前訴訴訟…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題29:証拠保全

1. XのYに対する損害賠償請求訴訟において、Xは証拠保全の申立て(234条)により診療記録の保全をもとめているところ、かかる証拠保全は認められるか。 2. 証拠保全が認められるためには、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題28:文書真正の推定

1. 文書の証拠力は、文書の記載内容が証明に役立つことをいい、形式的証拠力(文書成立の真正)とこれを前提とする実質的証拠力(要証事実の認定に役立つ程度)を裁判官が自由な心証で判断する(自由心証主義・247条)。 文書成立の真正とは、当該文書が挙…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題27:文書提出義務(2)

1. XのY銀行に対する損害賠償請求訴訟において、Xは、自己査定文書(以下、本件文書)につき、文書提出命令の申立て(219条後段)を行っているところ、かかる申立ては、認められるか。 2. これに対し、Yより「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題26:文書提出義務(1)

1. XのY銀行に対する損害賠償請求訴訟において、Xは、貸出稟議書(以下、本件文書)につき、文書提出命令の申立て(219条後段)を行っているところ、かかる申立ては、認められるか。 2. これに対し、Yより「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題25:証言拒絶事由

1. XのY(放送局)に対する名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟(以下、本件事件)において、Yの反論を立証するために申請されたBは、証人尋問において取材内容の証言を拒絶することが許されるか。取材内容が「職業の秘密に関する事項」(197条1項3号)に該当…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題11:違法収集証拠

1. XのYに対する損害賠償請求訴訟において、Xが提出した送受信記録(以下、本件記録)を裁判所は証拠として採用しうるか。本件記録が違法な手段により得られた証拠方法(違法収集証拠)であることから、その証拠能力の有無が問題となる。 2.自由心証主義(…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題10:証明妨害

1. X(契約者)のY(保険会社)に対する保険金支払請求において、事故前の保険料支払の有無 が争点となっているところ、領収書に支払日の記載がないことが証明妨害法理により、Yの抗弁を排斥しえないか。 2. まず、本件は証明妨害法理について認められた明…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題24:証明責任の分配

1. XのYに対する建物収去土地明渡訴訟において、Yの主張が認められるためには、XY間の信頼関係が破壊されてないことが証明される必要がある。 2. そこで、信頼関係破壊の証明責任は誰が負担するかが問題となる。 (1) 証明責任とは、ある事実が真偽不明の…