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Law Practise 商法 No.34:取締役会の承認のない利益相反取引の効力

1. Xは、Yに対し、XB間の本件土地売買が利益相反取引(365条、356条1項2号)にあたることを理由に本件土地の返還請求をする。かかる請求は認容されるか。

2. まず、XB間の売買(本件売買)は、利益相反取引にあたるかが問題となる。

本件において、Xの取締役A2は、取締役会の承認なく、「自己又は第三者のため」に株式会社(X)と取引(本件売買)を行ったといえることが必要である。

ここで、「自己又は第三者のため」とは、自己又は第三者の名義で当該取引を行ったことをいうところ(形式説)、A2は本件土地をBの名義で購入していることから、「第三者のために」本件土地売買を行ったといえる。

したがって、本件売買は、利益相反取引に当たる。

3. では、上記利益相反取引の効力はどうなるか。

(1) 取締役会の承認を得た場合には356条2項の反対解釈から、民法108条は適用されない。そして、このことから承認を得ずになされた利益相反取引は一種の無権代理として無効となると解される。

(2) もっとも直接取引の場合の転得者や、間接取引の場合のように、当該取引が利益相反行為であることを知り得ない第三者の取引安全を保護する必要が生じる。

そこで、会社は、利益相反行為をした取締役に対しては当然に無効を主張できるが、第三者に無効を主張するためには、①当該取引が利益相反行為に該当すること及び②株主総会・取締役会の承認がなかったことについて、第三者が悪意であったことを証明することを要する(最大判昭46・10・13民集25-7-900)。

(3) したがって、前述のように本件取引は利益相反取引に当たり、転得者Yが利益相反取引の事実について悪意であれば、本件売買は無効となる。

4. もっとも、356条は取締役の専横から会社の利益を保護することをその趣旨とすることから、無効主張は会社(X)のみがなしうると解すべきである(最判昭48・12・11民集27-11-1529参照)。

5.以上から、Yに上述の事情が認められれば、Xの請求は認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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