Law Practise 民法Ⅰ No.48:物上代位と相殺

1.X→Y:物上代位に基づく賃料支払請求

(1)Yの反論:相殺予約の抗弁

(2)問題:賃料への物上代位と相殺が競合した場合の優劣

➡抵当権に基づく物上代位の効力は賃料に及ぶ(372・304Ⅰ本文、最判平1・10・27民集43-9-1070)

…抵当権設定登記により公示

➡抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない(最判平13・3・13民集55-2-363)

(3)Y→Aの保証金債権の取得は抵当権設定登記以前

(4)YはXに対し相殺予約の抗弁を対抗可

2.X→Z:物上代位に基づく賃料支払請求

(1)Zの反論:相殺予約の抗弁

ア.賃料への物上代位と相殺が競合した場合の優劣(前述)

イ.抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない(最判平13・3・13民集55-2-363)

ウ.Z→Aの保証金債権の取得は抵当権設定登記以後

(2)Zの反論:保証金は敷金たる性格 ➡抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえた場合においても、賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する(賃借人は、賃料の消滅を抵当権者に対抗できる)(最判平14・3・28民集56-3-689)

ア.問題:保証金の性格

イ.①保証金と敷金を別にしている ②返済の据置規定はあるが充当の規定なし

ウ.保証金は敷金の性格なし

(3)ZはXに対し相殺予約の抗弁を対抗不可

 

Law Practice 民法I 総則・物権編〔第2版〕

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