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Law Practise 商法 No.14:定款による株式の譲渡制限

第1.設問(1)

1. X社のY1社に対する株主の地位不存在確認請求は認められるか。

2. X社は定款で譲渡制限が設けられていたことから、CからY1社に対するX社取締役会の承認を欠く株式譲渡の効力が問題となる。

(1) 株主の投下資本の回収を図る必要性があることから、株式は自由に讓渡できるのが原則である(127条)。

しかし、定款により株式讓渡の制限をもうけることが認められているが(107条1項、108条1項4号)、これは会社にとって好ましくない者が会社経営に参加することを防止するためである。

そして、この制限に反し、取締役会の承認を欠いてなされた讓渡の効力は、①会社との関係においてのみ譲渡の効力を否定すれば、上記目的を達成可能であり、②137条1項、138条2号(譲受人の譲渡の承認請求)は当事者間においては譲渡が有効であることを前提としている。

したがって、取締役会の承認を欠く讓渡も会社に対する関係では効力を生じないが,譲渡当事者間では有効と解する。

(2) では、吸収分割による取得は「譲渡」(107条1項、108条1項4号)にあたるか。

会社法は、「相続その他の一般承継」の場合、定款による譲渡制限が及ばないことを前提に相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定めることができるとしていることから(174条)、「譲渡」(107条1項、108条1項4号)は特定承継を指すものと解される。

そして、吸収分割による取得において、吸収分割承継株式会社は、「吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する」としていることから(759条1項)、一般承継(包括承継)である。

(3) したがって、「譲渡」(107条1項、108条1項4号)には吸収分割による取得は含まれないと解され、Y1は讓渡を受けた株式について,株主の地位を有しない。

3. よって、Xの上記請求は認められる。

第2.設問(2)

1. XのY2に対する株式の売渡請求(176条1項)は認められるか。

2. この請求が認められるためには、①株主総会の特別決議(175条1項、309条2項3号)及び②配当可能利益(461条1項5号)があることが必要である。

  本件において、Aの相続人であるY2は株主総会において議決権を行使することができない(175条2項、1項2号)。

3. したがって、分配可能利益があれば、上記請求は認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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