Law Practise 民法Ⅱ No.7:特定物売買と手付け
1.Xの請求
(1)Stg:売買契約に基づく土地引渡請求権及び所有権移転登記請求権
(2)Kg:売買契約の締結
2.Yの反論
(1)手付倍返しによる解除
(2)Xの再反論
ア.手付けの性質:本条項は違約手付け
(ア)原則:解約手付(557Ⅰ)
⇒but:①契約書に違約の場合には手付の没収または倍返しをするという条項があっても、それだけで解約手付でないとはいえない。(最判昭24・10・4民集3-10-437)
②解約手付の性質を有するか否かについて当事者の認識に齟齬がある場合、合理的意思解釈により決する
(イ)①市販の契約書、②Xが特に気をとめていなかった
(ウ)解約手付の趣旨を含む ⇒①履行の着手前は解約手付、②履行の着手後は違約手付として機能
イ.履行の着手:「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」(557Ⅰ)
⇒解約手付の授受された売買契約において、当事者の一方は、自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、557条1項に定める解除権を行使することができる。(最大判昭40・11・24民集19-8-2019)
⇒「履行に着手」:①客観的に外部から認識可能な形で履行行為の一部 or ②履行の提供に欠くことのできない前提行為(最大判昭40・11・24民集19-8-2019)
⇒判断基準:行為の態様、債務の内容、履行期が定められた趣旨を総合的に勘案(最判平5・3・16民集47-4-3005)
ウ.現実の提供なし:「償還」(557Ⅰ)