Law Practise 民法Ⅰ No.47:抵当権に基づく賃料債権への物上代位

1.X→Y:物上代位に基づく賃料支払請求

2.Yの反論:抵当権は価値支配権・非占有担保物権→使用・収益は設定者 ⇒抵当権の効力は賃料に及ばない

(1)賃料への物上代位 =使用・収益に干渉しない + 交換価値のなしくずし的実現

(2)抵当権の効力は賃料に及ぶ ➡賃料への物上代位可

3.Yの反論:債権譲渡

(1)物上代位権の行使:「払渡し又は引渡し」前の差押え必要(372、304Ⅰただし書)

⇒①債権譲渡=「払渡し又は引渡し」

②Xの差押えは債権譲渡後 ③304Ⅰただし書の趣旨:第三者の保護

⇒物上代位不可

(2)304Ⅰただし書の趣旨:差押えを物上代位権行使の要件とすることによって、第三債務者をして差押命令の送達を受ける前には抵当権設定者に弁済をすれば足りることとして、二重弁済の危険から保護する点にある

➡「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、この理は、債権譲渡に係る目的債権の弁済期到来の有無を問わず妥当する(第三債務者保護説・最判平10・1・30民集52-1-1)

4.賃料への物上代位可

  

参考:先取特権の場合

304Ⅰただし書は、抵当権とは異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権については、物上代位の目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨を含むから、動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない(優先権保全説・最判平17・2・22民集59-2-314)

 

 

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