Law Practise 民法Ⅰ No.42:占有と相続

1.D→Eの請求

(1)Stg:所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転党請求

(2)Kg:①Dの占有開始(1992.10.1)②①より20年間経過(2002.10.1) ③時効の援用

④Eの登記(Eは時効完成前の第三者)

2.Eの反論:Dの時効取得には「所有の意思をもって」占有(自主占有・162Ⅰ)必要

➡Dが相続したAの占有権原は使用貸借契約に基づく所有の意思のない占有(他主占有)

(1)論点1:占有権の相続の可否

占有権=「一切の権利義務」(896前段)

∵占有権が相続されないとすると、①相続人が別居していて、被相続人が時効完成前に死亡した場合、被相続人の下で進行していた取得時効期間は自然中断してしまう(164)し、②相続人は、占有訴権(197)を行使できなくなる

(2)論点2:Dが自己の占有を主張することの可否 ➡ D=「占有者の承継人」(187Ⅰ)?

187Ⅰは相続のごとき包括承継にも適用される(最判昭37・5・18民集16-5-1073)

∵占有承継人の占有の二面性は包括承継人たる相続人の占有にも占有の二面性は認められる

(3)論点3:相続 =「新たな権原」(185Ⅰ)⇒自主占有への転換?

ア.相続人が、被相続人の死亡により相続財産の占有を承継したばかりでなく、①新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始し、②その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも、相続人は本条にいう新権原により所有の意思をもって占有を始めたものというべきである。(最判昭46・11・30民集25-8-1437)

イ.Dは①事実上の支配、②自己の所有物だと信じて公租公課を支払い続けた→所有の意思

ウ.Dは「新たな権原」により自主占有を取得

(4)Dは時効取得

3.D→Eの請求可

 

Law Practice 民法I 総則・物権編〔第2版〕

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