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Law Practise 商法 No.38:経営判断の原則

1. Xは、Y1‐Y3に対し、Bに対する融資の結果、Aに損害を与えたことが任務懈怠(423条1項)に当たるとして、株主代表訴訟(847条1項)により損害賠償責任を追求しているところ、かかる請求は認められるか。

2. 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条)および忠実義務(355条)を負うところ、「任務を怠った」(423条1項)とは、これらの義務に反した場合を指すと解される。

Y1‐Y3がAに対し、2度に渡り過剰な融資を行った行為が善管注意義務に違反するかどうかが問題となるところ、取締役の経営判断は、事実関係の把握や将来の予測など不確実な要素の中で行わざるを得ないことも多いため、判断当時に合理的な調査等が行われ、当該調査等を踏まえた上で合理的な判断が行われていれば、後日に生じた結果から振り返ってみて、取締役が会社にとって不利益な判断をしていたとしても、善管注意義務に反するものではない経営判断の原則)。

3. 本件第1融資を判断するに際して、A取締役会において、Bの売り上げが急伸し、株価も高値で推移していること、AがBに対する指導力を保持すれば業績悪化を回避できること等が報告されており、その内容に誤りがあったとしても、調査自体に不合理な点は存しない。また、Y1‐Y3は、株価暴落の危険やその回避手段について検討をしていないものの、株価暴落自体はバブル崩壊という外部的要因に起因するもので、前記報告結果を踏まえるならば、融資の実行が不合理な判断の下に行われたともいえない。

  また、第2融資については、Bの事業は販売が停滞し、2年後には900億円の債務超過になることが報告されているにもかかわらず、Bの今後の収益予測等について具体的な検討がなされないまま、融資が実行されており、調査を踏まえた合理的な判断がなされたとは言い難い。

したがって、、Y1‐Y3は、第2融資について善管注意義務違反があり、任務懈怠があったといえる。

4. 以上から、第2融資について、Xの請求は認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

Law Practice 商法〔第2版〕