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Law Practise 民事訴訟法 基本問題46:訴訟承継の範囲

1. XのYに対する賃貸借契約解除に基づく建物収去土地明渡請求訴訟係属中に被告Yが死亡しているところ、訴訟手続続行しうるか。当然承継の有無の有無が問題となる。

(1) ここで、当然承継とは、当事者の死亡・法人の合併など一定の承継原因が生じれば、当事者の地位が承継され、これにより訴訟が当然に承継される場合である。

(2) 当然承継の可否については、現行法は、訴訟承継主義(訴訟係属中の承継人を当事者として訴訟に加入させて既存の当事者の訴訟上の地位を引き継がせる建前)を採用し、承継人は前主の訴訟追行に基づいて形成された訴訟状態を全面的に引き継ぐのが原則であることから、認められる。

また、当然承継の原因は明文の規定がないが、訴訟手続の中断・受継の規定(124条)から推知される。

本件においては、被告Yの死亡は「当事者の死亡」(124条1項1号車)に当たり、承継原因が認められることから、相続人が承継する。

(3) では、訴訟の続行をなしうるか。

ア.まず、Yに訴訟代理人がいない場合には、訴訟手続の中断し(124条1項) 、承継人あるいは相手方による受継申立て(126条)または裁判所による続行命令(129条)により手続が続行する。

イ.次に、Yに訴訟代理人がいる場合、訴訟手続の円滑な進行の観点より、訴訟の当然承継があっても訴訟代理権は消滅せず(58条参照)、訴訟手続は中断しない(124条2項)。

したがって、承継人を当事者として訴訟続行し、①裁判所は承継の事実を知りしだい、当事者の表示を改めるか、②判決後でも判決の更正(257条)により当事者の表示を訂正することになる。

2. さらに、本件においては、XのYに対する賃貸借契約解除に基づく建物収去土地明渡請求訴訟係属中係争建物をZに賃貸しているところ、訴訟手続続行をなしうるか。参加引受承継(49条〜51条)の可否が問題となる。

(1) まず、Xは引受承継の申立て(50条1項)をなしうるか。

ア.ここで、Zは「訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継」(50条1項)したといえるか。承継人の範囲が問題となる。

訴訟承継は、訴訟係属中の紛争主体の変動を訴訟手続上に反映させ、当該訴訟手続内で紛争の実質的解決をはかることをその趣旨とすることから、義務の承継は、実体法上の義務が承継される場合に限られず、義務自体については承継がなくても、義務の発生基盤について承継関係があり、その承継関係のゆえに、承継人のその義務に関する紛争もこれまでの訴訟の結果を利用して迅速に解決を図るのが適当であると評価される場合には、承継人は訴訟を引き受けさせるべきであるから、「訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継」とは紛争主体たる地位の承継を意味すると解される。

イ.本件において、Zが賃貸借によりYから占有を承継 したことで、XY間の紛争がXZ間の紛争へと移行したものとみるべきであり、紛争の主体たる地位がZに移転したと考えられる。

ウ.よって、Z は、承継人にあたり、Xは引受承継の申立て(50条1項)をなしうる。

(2) 次に、Zは参加承継の申立て(義務承継人の訴訟参加・51条)をなしうるか。

ア.ここで、50条1項と51条前段の承継人の範囲は同義と考えられ、Zが承継人に当たることは前述のとおりである。

イ.そして、「申立て」には、独立当事者参加規定が準用され、訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる(51条前段、47条1項)。

ウ.よって、Zは参加承継の申立て(51条)をなしうる。

3. 以上から、XYの訴訟はZに承継されるとともに、  Yの相続人にも承継され、①Zに対しては建物退去請求訴訟、②Yの相続人に対しては建物収去土地明渡請求訴訟が並存することになる。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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