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Law Practise 民事訴訟法 発展問題18:類似必要的共同訴訟

Law Practise 民事訴訟法

第1.設問前段

1. X1〜X3がA県に対して提起した損害賠償請求(住民訴訟)とX4〜X6がA県に提起した同様の訴訟は、別個に進行させることが許されるか。

2. 訴訟を別個に進行させることが許されるかは合一確定が要請されるか、すなわち本件訴訟が「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」(40条1項)に該当するかが問題となる。

(1) ここで、「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」(必要的共同訴訟)とは、紛争の統一的一回的解決の必要性があり、判決の効力が共同訴訟人全員に及ぶ場合を指すと考えられる。

(2) 本件訴訟は、住民訴訟地方自治法242条の2)であり、普通地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保して住民全体の利益を守るために、当該普通地方公共団体の構成員である住民に対し、いわば公益の代表者として同条1項各号所定の訴えを提起する権能を与えたものであり、同条4項が、同条1項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができないと規定しているのは、住民訴訟のこのような性質にかんがみて、複数の住民による同一の請求については、必ず共同訴訟として提訴することを義務付け、これを一体として審判し、一回的に解決しようとする趣旨に出たものと解される。そうであれば、住民訴訟の判決の効力は、当事者となった住民のみならず、当該地方公共団体の全住民に及ぶものというべきであり、複数の住民の提起した住民訴訟は、民訴法六二条一項にいう「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」に該当する。

(3) また、同条1項は、「普通地方公共団体の住民」に当事者適格が認められるとしており、住民全員での提訴を必要としていないから、いわゆる類似必要的共同訴訟と解するのが相当である

3. したがって、本件訴訟は、「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」に該当するから、両訴訟を別個に進行させることはできない。

第2.設問中断

1. 本問では、訴訟開始後にX4が死亡した場合の影響が問題となる。

2. 前述のとおり、本件訴訟は、類似必要的共同訴訟にあたる。ここで、類似必要的共同訴訟とは、訴訟の開始にあたっては各自単独でも当事者適格を有するが、共同訴訟となった場合には合一確定が要請される共同訴訟類型である。

必要的共同訴訟においては、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる(40条3項)。

3. X4の死亡は、訴訟の中断事由である「当事者の死亡」(124条1項1号)にあたり、訴訟代理人がいる場合(124条3項)を除き、相続人等が受継するまで中断することになる。

第3.設問後段

1. 本問では、上告しなかったX2および訴えを取り下げたX5の訴訟上の地位が問題となる。

2. 必要的共同訴訟では、共同訴訟人の一部の者がした訴訟行為は全員の利益においてのみ効力を生ずるとされる(40条2項)ところ、Xらの上告によりX2およびX5も上告人の地位にとどまるかが問題となる。

(1) この点、上訴は、上訴審に対して原判決の敗訴部分の是正を求める行為であるから、類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶものと解される。

(2) しかし、本件において、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りる上、住民訴訟の性質にかんがみると、公益の代表者となる意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就き続けることを求めることは、相当でないだけでなく、住民訴訟においては、複数の住民によって提訴された場合であっても、公益の代表者としての共同訴訟人らにより同一の違法な財務会計上の行為又は怠る事実の予防又は是正を求める公益上の請求がされているのであり、元来提訴者各人が自己の個別的な利益を有しているものではないから、提訴後に共同訴訟人の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には何ら影響がない。

したがって、自ら上訴をしなかった共同訴訟人は上訴人にはならない。

(3) また、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げても、その者に対する関係において原判決が確定することにはならないが、その者は上訴人ではなくなるものと解すべきである。

3. よって、X2・X5は上告人の地位を有しない。

 

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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