Law Practise 民法Ⅱ No.15:売買の瑕疵担保責任(不特定物)
第1.設問1
1.XのYに対する債務不履行責任
(1)損害賠償請求
イ.Kg
①売買契約の締結
②債務の本旨に従った履行がないこと
③損害の発生及びその額
ウ.Yの抗弁
(ア)債務不履行責任適用不可:不特定物の売買において、売主が瑕疵ある物を給付したのに対し買主がこれを受領した以上は、不完全ながら契約の履行があったもので、買主は危険移転の時期を標準として瑕疵担保による権利を行使しうるのみである(旧判例、大判大14・3・13民集4-217)。
➡不特定物の売買において給付されたものに瑕疵のあることが受領後に発見された場合、買主がいわゆる瑕疵担保責任を問うなど瑕疵の存在を認識した上で右給付を履行として認容したと認められる事情が存しない限り、買主は取替えないし追完の方法による完全履行の請求権を有し、またその不完全な給付が売主の責めに帰すべき事由に基づくときは、債務不履行の一場合として損害賠償請求および契約解除権をも有する(最判昭36・12・15民集15-11-2852)。
(イ)帰責性不存在:当該瑕疵は地震により発生 →保管義務(400条)違反なし
(2)完全履行請求
イ.Kg
①売買契約の締結
②債務の本旨に従った履行がないこと
③追完が可能であること(完全履行が可能であること)
ウ.Yの抗弁:同上
2.瑕疵担保責任
(1)Stg:570条に基づく損害賠償請求権
(2)Kg
①売買契約の締結
②買主が売主から目的物を受領
③通常人の通常の注意では発見できない瑕疵があったこと
④買主が②の受領後③の瑕疵を認識して履行として認容したこと
⑤損害の発生及びその額
(3)抗弁:買主の悪意・重過失
ア.「隠れた」=契約時において、瑕疵が表見しておらず、一般人の見地から容易に発見できず、買主が発見しえなかったこと(買主の善意・無過失)
➡法定責任説:契約後に生じた瑕疵は保管義務(400条)違反の問題(債務不履行)
イ.再抗弁
(ア)契約責任説:売主が目的物を支配できる状況下で発生した瑕疵については売主が責任を負う
(イ)売主の悪意・過失(信義則違反)
第2.設問2
1.XのYに対する損害賠償請求
(1)Stg:570条に基づく損害賠償請求権
(2)Kg
①売買契約の締結
②買主が売主から目的物を受領
③通常人の通常の注意では発見できない瑕疵があったこと
④買主が②の受領後③の瑕疵を認識して履行として認容したこと
⑤損害の発生及びその額
(3)抗弁:除斥期間経過
①裁判外の請求でも可
②瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。(最判平13・11・27民集55-6-1311)
2.完全履行請求 ⇒法定責任説では不可