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Law Practise 商法 No.54:商号使用許諾者の責任  

Law Practise 商法

1. Xは、Yに対して、会社法9条および民法415条に基づく損害賠償を請求しているところ、かかる請求は認められるか。

2. 会社法9条は商号使用許諾者の責任について規定されているところ、①会社が「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾」したこと(外観の作出)、②「当該会社が当該事業を行う」との外観が存在することおよび③②について第三者が「誤認」したことが必要である。

  しかし、本件において、Zは、Y店舗内で営業していたにすぎず、Yの商号を使用したわけでないことから、①および②の要件を欠き、同条を直接適用できない。

3. そこで、ZがYの商号を使用していたと同視しうる外観が存在し、同条を類推適用しえないかが問題となる。

(1) Yは、総合小売業などを営む株式会社で、地上4階建て(屋上あり)の本件店舗でスーパーマーケットを営んでいたものであり、Zは、そのテナントとして、本件店舗屋上の一部においてペットショップを営んでいたものであるところ、本件店舗の外部には、Yの商標を表示した大きな看板が掲げられていたが、テナント名は表示されていなかったというのであり、本件店舗の内部においても、本件店舗の4階から屋上に上がる階段の登り口に設置された屋上案内板や右階段の踊り場の壁には、「ペットショップ」とだけ表示されていて、その営業主体がYであるかZであるかは明らかにされておらず、そのほか、Zは、Yの黙認の下に、契約場所を大きくはみ出し、4階から屋上に上がる階段の踊り場等に値札を付けた商品を置き、契約場所以外の壁に「大売出し」と大書した紙を何枚も張りつけるなどして、営業をしていたというのである。これら事実は、買物客に対し、Zの営業があたかもYの営業の一部門であるかのような外観を与える事実ということができる。

なお、Zの売場では、Y直営の売場と異なり、独自のレジが設けられて対面販売方式が採られていたが、Zの取扱商品であるペットは、その性質上、スーパーマーケット販売方式になじまないものであって、仮にYがそれを販売するにしても、対面販売の方式が採られてもしかるべきものといえるから、このことから買物客が営業主体を外観上区別することができるとはいえない。また、Zの従業員はYの制服等を着用していなかったが、営業主体が同一の売場であっても、その売場で取り扱う商品の種類や性質によっては、他の売場の従業員と同一の制服等を着用していないことは、世上ままあり得ることであって、このことも買物客にとって営業主体を外観上区別するに足りるものとはいえない。さらに、Zの発行するレシートにはZの名称が記載されていたが、レシート上の名称は、目立ちにくい上、買物客も大きな注意を払わないのが一般であって、営業主体を区別する外観としての意味はほとんどない。また、ZはYと異なる包装紙や代済みテープを使用していたが、これらは買物客にとってはBの包装紙等と比較して初めて判明する事柄であって、両者の営業を外観上区別するに足りるものとはいい難い。

(2) 本件においては、一般の買物客がZの経営するペットショップの営業主体はYであると誤認するのもやむを得ないような外観が存在したというべきである。そして、Yは、本件店舗の外部にYの商標を表示し、Zとの間において、出店及び店舗使用に関する契約を締結することなどにより、右外観を作出し、又はその作出に関与していたといえ、上記①および②の要件が存在していたと同視しうる。

(3) Yは、会社法9条の類推適用により、XとZとの取引に関して名板貸人と同様の責任を負わなければならない。

4. 以上から、Xの請求は認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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