読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Law Practise 商法 No.50:合併の差止め

Law Practise 商法

第1.Y1・Aの合併

1.Xは、Y1・Aの合併をやめさせるために、Y1に対し、合併の差止めを請求(784条の2)することが考えられる。

(1) 合併の差止請求が認められるためには、①784条の2各号に定める場合であること及び➁消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあることである(784条の2)。

(2) まず、①Y1・Aの合併は、Y1がAの株式の95%を保有していることからAの特別支配会社であり(468条1項参照)、株主総会決議は不要となる(784条1項)場合であり、Xは本件吸収合併の合併比率が不公正であると考えており、749条2号または3号の内容が消滅株式会社等又は存続会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当である場合に該当する(784条の2第2号)と主張すべきである。

   次に、Xの主張を前提とすれば、②消滅株式会社Aの株主であるXが不利益を受けるおそれがあること(784条の2)にも当たる。

(3) したがって、Xとしては合併の差止めを請求(784条の2)すべきである。

2. また、Xは、仮の地位を定める仮処分(民事保全法23条2項)を申立てることも考えられる。これが認められるためには、Xは、「保全すべき権利」(被保全権利)および「保全の必要性」の存在を疎明することを要する(同13条)。

  ここで、Xは、被保全権利として前述の会社法上の差止請求権を主張することになる。また、被保全権利の存在が認められれば、保全の必要性も認められると解する。なぜなら、被保全権利の成立要件に保全の必要性の判断が含まれていると考えられるからである。

  したがって、Xは、被保全権利の存在の疎明に成功すれば、仮処分命令が得られる可能性がある。

第2.Y1・Bの合併

1. Xとしては、B代表取締役Y3の行為の差止請求をすることが考えられる(360条1項)。

(1) その要件としては、①法令違反等および➁会社に著しい損害が生ずるおそれがあることが必要である。

(2) まず、Xは、合併比率に不公正があると考えており、これにを前提とすれば、①の要件を充たす。

   しかし、合併によってY1・Bの両社は一体となるのであり、不当な合併であってもBの資産・債務は合併後の会社に引き継がれるのであり、Y1に著しい損害が発生するとは考えられず、➁の要件を充たさない。

(3) したがって、Xは、取締役の行為の差止請求をすべきではない。

2. Xは、Y1・Bの合併をやめさせるために、前記同様、Y1に対し、合併の差止めを請求(784条の2)することが考えられる。

(1) 合併の差止請求が認められるためには、①784条の2各号に定める場合であること及び➁消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあることである(784条の2)。

(2) まず、①Y1・Bの合併は、Y1がAの株式の70%を保有しているにとどまることから784条の2第2号の場合に該当しない。しかし、Xは、合併比率に不公正があると考えていることから、本件合併に法令違反があるとして同1号に該当すると主張すべきである。

   次に、Xの主張を前提とすれば、➁消滅株式会社Aの株主であるXが不利益を受けるおそれがあること(784条の2)にも当たる。

(3) したがって、Xとしては合併の差止めを請求(784条の2)すべきである。

3. また、Xは、仮の地位を定める仮処分(民事保全法23条2項)を申立てうることも前記同様である。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

Law Practice 商法〔第2版〕