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Law Practise 民事訴訟法 発展問題16:主観的追加的併合

Law Practise 民事訴訟法

1. Xは、Y1に対する損害賠償請求訴訟係属中、Y2を被告に追加することをなしうるか。このばあい、Xによる別訴提起する方法が考えられるところ、かかる方法は、Xにとって煩雑であり、従来の訴訟資料をXZ間の訴訟で用いることができないという不都合がある。

2. そこで、紛争の統一的かつ一回的解決を図るべく、XにZに対する請求を併合する申立てをする権能(主観的追加的併合の申立権)が認められないか。かかる当事者の権能を認めた明文がないことから、問題となる。

(1) この点、判例は、主観的追加的併合を一般的に否定し、当事者としては別訴を提起して裁判所の弁論の併合(152条)によるべきとする(否定説・最判昭62・7・17民集41-5-1402)。

その理由は、主観的追加的併合を認める明文規定がなく、肯定説に立つと濫訴や訴訟遅延の危険があること、そして係属中の訴訟手続の結果が当事者の援用・同意なくして新当事者との間の審判に当然に利用できるとは限らないことが挙げられる。

(2) しかし、主観的追加的併合を否定することにより共同訴訟形態の利用による審理の重複の防止や裁判の矛盾を避けるという効用を受ける当事者の利益をあまりに害するもので妥当でなく、訴訟遅延の危険という不都合性に対しては弁論の分離で対応すれば足り、主観的追加的併合形態では別訴の提起の場合と異なり印紙の貼用が不要ではあるが、それがために必ずしも濫訴を招くとはいえない。

(3) したがって、併合の主観的要件(38条)がみたされる場合には主観的追加的併合を許容すべきであり、Y2の審級の利益を保護するため、Xの主観的追加的併合の申立てが許されるのは第1審係属中に限定される(XのYに対する請求が控訴審・上告審に係属している場合、別訴提起によるべきである)。

3. XとしてはY1に対する請求にY2に対する請求を追加的に併合する申立てをなしうる。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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