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Law Practise 民事訴訟法 基本問題34:口頭弁論終結後の承継人

Law Practise 民事訴訟法

1. XのAに対する本件土地の所有権移転登記請求訴訟(前訴)の確定判決の既判力が判決後に本件土地を譲り受けたYに対する所有権移転登記請求訴訟(後訴)に及ぶか。

ここで、既判力とは、確定判決の判断内容の後訴に対する拘束力であり(114条1項)、当事者問にのみ既判力を及ぼせば紛争解決の目的は十分果たされるから、既判力の主観的範囲は、原則として当事者のみに及ぶとされる(115条1項1号・相対効の原則)。

2. もっとも、Yが前訴判決確定後に本件土地を譲り受けていることから、「口頭弁論終結後の承継人」(115条1項3号)に該当しないかが問題となる。

(1) そこで、「承継人」の意義が問題となるところ、法が、例外的に口頭弁論終結後の承継人に対して既判力を及ぼす趣旨は、敗訴した当事者がその訴訟物たる権利関係を第三者に処分することによって当事者間の訴訟の結果を無駄にし、相手方当事者の法的地位の安定性を害するだけでなく訴訟による解決の実効性も確保できなくなるのを防ぐことにあることから、「承継」の範囲は訴訟法的観点から考察し、判決効を及ぼすことによって、紛争解決を期待できる者としての紛争主体たる地位の移転が生じた場合を指すと解すべきである。

本件において、Yは前主のAから前訴の訴訟物である登記移転義務自体を承継したわけではない。しかし、係争物たる本件土地の所有権移転登記を取得したことによって、本件土地に関する紛争主体たる地位の移転を受けたものといえる。

(2) もっとも、Yは「善意の第三者」(民法94条2項)として固有の抗弁を有している 。そこで、第三者が固有の抗弁を有しているときにも「承継人」といえるか。

この点について、固有の抗弁を有している第三者を保護するためにそのような第三者は「承継人」に含まれないとの見解(実質説)もあるが、このように解すると当該第三者は前訴判決で確定された権利関係の存否を自由に争うことができるという不当な結論になりかねない。また、固有の抗弁を有している第三者を「承継人」に含むと解しても、第三者は固有の抗弁を基準時後の事由として自らの権利を擁護できるのだから、第三者の利益が不当に害されることにもならない。

(3) したがって、固有の抗弁を有している第三者であるYも「承継人」に含まれると解する。

3. よって、Yには確定判決の既判力が及び、Yは、XがAに対して登記移転求権を有するとの前訴裁判所の判断に拘束され、XがYに対して登記移転請求権を有するとの主張を既判力の標準時前の事由で争うことを禁止される。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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