Law Practise 民法Ⅱ No.4:債務不履行(交渉の不当破棄)
1.Aの請求(1)債務不履行責任構成
(2)Kg
①契約準備段階に入ったこと
②被告に信義則上の義務違反があること
誤信惹起型:❶契約締結の可能性がないのに可能性があると誤信させた場合
❷契約締結が確実でないのに確実と誤信させた場合
信頼裏切り型:交渉成熟段階で契約成立の期待が高まっている場合
③損害の発生(→信頼利益の範囲〔本問では305万円〕にとどまる)
④②③間の因果関係
(3)Bの反論
ア.債務者の帰責性の不存在(履行補助者の故意・過失)
イ.損益相殺(∵機械の完成) →否定∵転売不可
ウ.過失相殺(417条)→否定∵Aの連絡後Bは作業を中止
(4)結論
2.Aの請求(2)不法行為責任構成
(2)Kg
①契約準備段階に入ったこと
②原告の期待利益を侵害したこと
③②につき被告の故意・過失があること
④損害の発生
⑤③間の因果関係
【以下、本問の場合は715条の要件が加わる】
⑥が事業の執行についてなされたこと
⑦被告が被用者を使用していたこと or 被告が使用者に代わって被用者を監督していたこと
(3)Bの反論:過失相殺(722条)→否定∵Aの連絡後Bは作業を中止
(4)結論
3.機械の所有権の帰趨 ―責任が認められた場合の事後処理
(1) 契約未締結である以上、機械の所有権は本来Bに帰属するはずであるが、機械の所有権をAに帰属させた方が社会・経済的に有用であるとも考えられることから、賠償者代位(422条)を類推して、機械の所有権をAに帰属させる見解も考えられる。
(2) しかし、Aが支払ったのは信頼利益の範囲ではなく、機械の価格に相当する金額を支払ってはいない。
(3) よって、Aは機械の所有権を当然には取得しない。