Law Practise 民法Ⅰ No58:集合物譲渡担保

第1.X→Yの請求

1.X→Yの請求

(1)Stg:所有権に基づく返還請求権としての引渡請求

(2)Kg:①被担保債権の存在 ②譲渡担保設定契約 ③Aの元所有 ④A→Yの譲渡 ⑤弁済期経過

2.Yの反論

(1)本件買戻特約付売買契約 ≠真正の売買契約 →Xに所有権移転していない

ア.本件買戻特約付売買契約の性格:買戻特約付売買契約の形式がとられていても、目的不動産の占有の移転を伴わない契約は、特段の事情のない限り、債権担保の目的で締結されたものと推認され、その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である最判平18・2・7民集60-2-480)

イ.譲渡担保の性格:所有権的構成(形式を重視)

➡譲渡担保権を所有権の移転とし、担保目的を超えて行使しないという債権的拘束を受ける

ウ.所有権はXに移転

(2)一物一権主義から、①社会的必要性に乏しく、②公示の原則に反する →譲渡担保設定契約無効

ア.①統一性ある独立の集合体に大きな担保価値 ⇒社会的需要

②経済的に一体をなす集合動産も法律的に排他的支配が可能 ⇒公示の原則に反しない

イ.一物一権主義に反せず有効

(3)物権の目的物は特定性が必要(∵一般債権者等の第三者の保護)⇒譲渡担保設定契約無効

ア.構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保において、目的動産の種類・量的範囲・所在場所が明確に特定されていれば、特定された一個の集合物を目的とする譲渡担保権設定契約として効力を有する(最判昭62・11・10民集41-8-1559)

イ.有効

(4)A→Yの処分は営業の範囲内 ➡有効(Y所有権取得)

ア.譲渡担保の設定者が、その目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない最判平18・7・20民集60-6-2499)

➡①譲渡担保設定契約の解釈設定者の営業活動の態様処分行為の反復・継続性目的物の補充可能性

イ.あてはめ

(5)即時取得(192)

ア.即時取得の成立には、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かような変更をきたさない占有改定による占有取得には本条の適用はない最判昭35・2・11民集14-2-168)

イ.Y→Aは占有改定 ➡即時取得の適用なし

3.X→Yの請求可

第2.X→Aの請求

1.X→Aの請求

(1)Stg:所有権に基づく返還請求権としての引渡請求

(2)Kg:①被担保債権の存在 ②譲渡担保設定契約 ③Aの所有 ④弁済期経過

2.Aの反論

(1)即時取得の成立

(2)通常の営業行為の範囲内

3.X→A請求可

 

Law Practice 民法I 総則・物権編〔第2版〕

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