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Law Practise 民法Ⅰ No.54:抵当権の消滅

第1.Aによる弁済を行う案

1.方法:①第三者弁済 ②債務引受け ③競売手続きでAが買受人になる方法

2.①の問題点

(1)第三者弁済(474条):❶債務者が反対の意思を表示しないこと or ❷利害関係を有することが必要

(2)「利害関係」(474条2項)=弁済することについて法律上の利害関係を有すること

  ➡抵当目的物の第三取得者は被担保債権の弁済により抵当権の実行を回避して所有権を確保することができるから、「利害関係」のある第三者にあたる

(3)しかし、元本確定前に弁済しても根抵当権は元の債権者に帰属する(398条の7第1項)

2.②の問題点:Aが買受人になれるとは限らない

3.①②の問題点

(1)抵当権の不可分性(296条、305条、350条、372条)➡被担保債権全額の支払い必要

   ➡経済的合理性に乏しい

(2)抵当権者の同意があれば、被担保債権額以下での抵当権消滅も可能 ➡同意が得られるとは限らない

第2.抵当権消滅請求による場合

1.①譲渡担保権者として or ②共有者として抵当権消滅請求(379条)行使

2.抵当権消滅請求を行使できる者

➡主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人以外の抵当不動産の第三取得者(379条、380条)

(1)譲渡担保権者の場合 …所有権的構成によれば該当?

抵当権消滅請求は、抵当不動産を適宜に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度抵当権消滅請求の趣旨)であるが、抵当権者にとっては、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負担を伴うものであるところから、「第三取得者」(379条)とは、確定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られる最判平7・11・10民集49-9-2053)

(2)共有者の場合

  ➡(抵当権消滅請求の趣旨から)共有持分の第三取得者による抵当権消滅請求が許されるとすれば、抵当権者が一個の不動産の全体について一体として把握している交換価値が分断され、分断された交換価値を合算しても一体として把握された交換価値には及ばず、抵当権者を害するのが通常であって、抵当権消滅請求の制度の趣旨に反する結果をもたらすから、抵当不動産の共有持分を取得した第三者が抵当権消滅請求をすることは、許されないものと解するのが相当である(最判平9・6・5民集51-5-2096)

3.結論:いずれも不可

 

Law Practice 民法I 総則・物権編〔第2版〕

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