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Law Practise 民事訴訟法 基本問題26:文書提出義務(1)

1. XのY銀行に対する損害賠償請求訴訟において、Xは、貸出稟議書(以下、本件文書)につき、文書提出命令の申立て(219条後段)を行っているところ、かかる申立ては、認められるか。

2. これに対し、Yより「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(自己使用文書・220条4号ニ)に当たるとの反論をしている。そこで、本件文書が自己使用文書にあたるかが問題となる。

(1) 文書提出命令は、文書提出義務の存在が前提となるところ、法は、一般的提出義務(220条4号)を定め、一定の場合(220条4号イ~ニ)に提出義務を免れるとする。

(2) 本件文書が自己使用文書(220条4号ニ)に当たるかが問題となるところ、自己使用文書とは、①文書がその作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって(外部非公開性)、②開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には(不利益性)、③特段の事情がない限り、自己使用文書にあたる(最決平11・11・12民集53-8-1787)。

(3) 貸出稟議書は、専ら銀行内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されていない文書であって、開示されると銀行内部における自由な意見の表明に支障を来し銀行の自由な意思形成が阻害されるおそれがあり、自己使用文書にあたり、Yに本件文書の提出義務は認められない。

3. よって、裁判所は、文書提出命令をなしえない。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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