Law Practise 民法Ⅰ No.46:債権質・担保価値維持義務
第1.設問(1)
1.C→Aの請求
(1)消費貸借契約に基づく貸金返還請求
(2)Aの反論:弁済期未到来
ア.問題提起:AC間の質権設定 + BC間の合意(本件合意a)=期限の利益喪失(137②)?
イ.担保価値維持義務:債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない(最判平18・12・21民集60-10-3964)
ウ.本件合意a:敷金契約の一部解除 + 返還債権との相殺
➡返還債権→当利得返還債権
➡不当利得返還債権:実質的に敷金返還債権 ➡質権の効力及ぶ
➡しかし、相殺により「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させた」(137②)
エ.弁済期到来
(3)貸金返還請求可
2.C→Bの請求
(1)C→B:不当利得に基づく返還請求権(703、704)
要件:①「他人の財産又は労務によって利益を受け」(受益)②「他人に損失」③①②の因果関係
④「法律上の原因」がないこと
(2)Bの反論:敷金返還請求権は、賃貸借終了後、建物の明渡しがされた時において、敷金からそれまでに生じた賃料債権その他賃貸借契約により賃貸人が 賃借人に対して取得する一切の債権を控除し、なお残額があることを条件として、その残額につき発生する条件付債権(充当が予定→充当に法律上の原因あり)
(3)しかし、BはAの担保価値維持義務違反により利得 ➡法律上の原因なし
(4)不当利得返還請求可
第2.設問(2)
1.C→Aの請求
(1)消費貸借契約に基づく貸金返還請求
(2)Aの反論:弁済期未到来
ア.問題提起:AC間の質権設定 + BC間の合意(本件合意b)=期限の利益喪失(137②)?
イ.担保価値維持義務:債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない(最判平18・12・21民集60-10-3964)
ウ.本件合意b(未払賃料を意図的に発生 + 返還債権との相殺)+ Aに十分な預貯金
➡充当に正当な理由なし
➡相殺により「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させた」(137②)
エ.弁済期到来
(3)貸金返還請求可
2.C→Bの請求
(1)C→B:不当利得に基づく返還請求権(703、704)
要件:①「他人の財産又は労務によって利益を受け」(受益)②「他人に損失」③①②の因果関係
④「法律上の原因」がないこと
(2)Bの反論:敷金返還請求権は、賃貸借終了後、建物の明渡しがされた時において、敷金からそれまでに生じた賃料債権その他賃貸借契約により賃貸人が 賃借人に対して取得する一切の債権を控除し、なお残額があることを条件として、その残額につき発生する条件付債権(充当が予定→充当に法律上の原因あり)
(3)しかし、BはAの担保価値維持義務違反により利得 ➡法律上の原因なし
(4)不当利得返還請求可