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Law Practise 商法 No.31:株式会社の機関設計と権限分配

1. 会社法は、定款自治の観点から、会社法の規定に違反しない事項を記載することができるとし(29条)、取締役会設置会社においては「株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」(295条2項)。

Yは、取締役会設置会社であり、その定款には代表取締役解任は株主総会にてすることがでできるとの規定(本権定款規定)がある。それにも関わらず、Xは、取締役会により代表取締役を解職されている。

  そこで、Xは、Yに対し、上記解職が定款違反であることを理由に地位確認請求の訴えを提起している。かかる訴えは、認められるか。

2. これに対し、Yは、定款には、会社法の規定に違反しないものを記載しうる(29条)ところ、「代表取締役の選定及び解職」は取締役会の権限とされ(362条2項3号)、会社法は強行法規であるから、会社法に抵触する定款規定を定めることはできず、上記定款の規定は無効であるとの主張(従来の通説)が考えられる。

しかし、295条の反対解釈から、株主総会以外の機関が決定するとされる事項を株主総会の権限とすることは禁止されないと考えられ、株主総会が解職権を有しても取締役会の監督権が失われるわけではなく、取締役会は代表取締役の解職を議題とした株主総会を招集できる(2981項・4項)。

よって、本件定款規定は会社法に抵触せず、定款規定は有効である。

3. また、Yから、本件定款規定が有効でも、取締役会は法定の解職権限(362条2項3号)を失わず、解職は有効であるとの反論が考えられる。

  しかし、362条2項3号の規定にもかかわらず、本件定款規定により株主総会代表取締役の解職権限が付与されている以上、かかる権限は株主総会に排他的に帰属するものとみるべきである。

  よって、362条2項3号は、本件定款規定との関係で適用されず、取締役会による解職は無効である。

4. 以上から、Xの訴えは、認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

Law Practice 商法〔第2版〕