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Law Practise 商法 No.30:種類株主総会決議の要否

第1.設問(1)

1. 種類株式発行会社が「322条1各号所定の行為をする場合」において、「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれ」があるときは、その種類株主総会決議がなければ、効力を生じない(322条1項)とされるところ、本件においてYは、Dとの合併に際し、種類株主総会決議を要するか。

2. まず、合併は、322条1項7号所定の行為である。では、「種類株主に損害を及ぼすおそれ」があるといえるか。

(1) ここで、「損害」とは、種類株式間の割合的価値に変化を及ぼすかという観点で判断すべきところ、本件において、XはYの優先株主であるところ、55万円のY普通株式に対して60万円のD株式が交付されるのに対して、110万円のY優先株式に対して110万円のD株式が交付されるという不均衡が生じている。

   もっとも、種類の株式の内容に応じて異なる対価を定めることは認められており(749条2項参照)、直ちに優先株式の損害とは認められないとも考えられる。

しかし、本件のように不均衡が著しい場合には、「損害」が生じているものと認められる。

(2) また、「損害」を株主の保有していた従前の価値が損なわれるか否かを基準とするならば、Xは本件合併に際し、締め出され、XはD株主としてそのシナジーを得られないという「損害」が発生すると考えられる。

3. よって、本件において、種類株主総会決議が必要となる。

第2.設問(2)

1. 前記同様に検討すると、株式の併合は322条1項2号に該当する。

2. では、「種類株主に損害を及ぼすおそれ」が認められるか。

(1) 「損害」を種類株式間の割合的価値に変化を及ぼすかという観点で判断すべき見解によると、本件において、XはYの優先株主として併合前150万円(15万円×10株)が優先配当額の上限であったところ、併合により10株を1株とするから、15万円がその上限となり、Xの優先株式の価値を損なうものである。

(2) また、「損害」を株主の保有していた従前の価値が損なわれるか否かを基準とするならば、Xは本件株式の併合とその後の合併によりD普通株式0.9株が交付されるにとどまるから、XはDから締め出され、XはD株主としてそのシナジーを得られないという「損害」が発生すると考えられる。

3. よって、本件において、種類株主総会決議が必要となる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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