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Law Practise 商法 No.22:閉鎖会社における新株発行の無効事由

1. XがYに対して提起した新株発行無効の訴え(828条1項2号)は認められるか。

2. 新株発行の無効は、原則として誰でもいつでも無効主張できるはずである。しかしながら、同号は無効事由を明記していない。そこで、本件のような非公開会社における株主総会の特別決議を欠くことが無効事由となりうるかが問題となる。

(1) 公開会社の場合、株式発行に暇疵がある場合、設立後の株式発行は利害関係人が多数生じる会社の資金調達の一手段であり、取引の安全の要請が強く、無効原因は,重大な法令・定款違反の場合に限定すべきである。

   そして、公開会社においては取締役会決議が必要とされるところ(201条1項、199条2項)、このような会社の内部的手続きの欠缺は、取引安全の見地から無効事由とならない。

(2) しかし、非公開会社の場合、募集株式の発行に際し、株主総会の特別決議が必要とされ(199条2項、309条2 項5号)、他の株主からの譲受けによつて持分比率を回復することが困難であることから募集事項が株主総会特別決議事項とされていると解されるので、取締役・執行役の損害賠償責任を認めるのみでは少数派株主保護として不十分である。また、非公開会社においては、株主への通知・公告(201条3項・5項)が行われず、株主総会の招集が行われなければ、株主が差止めをして自己の権利を保全する機会も与えられない。

(3) したがって、非公開会社においては、公開会社の場合と異なり、取引安全よりも会社の支配権に関わる持株比率の維持に係る既存株主の利益保護が重視され、株主総会の特別決議の欠缺は、新株発行の無効事由となる。

3. よって、XのYに対する上記訴えは認められる。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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