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Law Practise 商法 No.18:新株予約権の無償割当

第1.設問(1)

1. XのYに対する新株予約権発行の差止請求(247条)は認められるか。

2. しかし、247条は募集新株予約権の発行(238条)を対象としており、新株予約権の無償割当てに直接適用しえない。しかし、有償発行も無償発行も株主の地位に変動を生ずるという点において共通性を有する。

したがって、同条は新株予約権の無償割当てに類推適用しうる。

3. では、本件新株発行予約権無償割り当てに差止事由が存在するか。以下、各要件について検討する。

(1) 新株発行予約券の差止事由とは、①247条1号・2号列挙事由の存在および②新株予約権発行により株主が不利益を受けるおそれがあること(247柱書)である。

(2)①について

ア.法令・定款違反(247条1号)

(ア) 本件新株予約権には、非適格者の行使を禁ずる差別条項が設けられており、これが株主平等原則(109条)違反となり、「法令…に違反」(247条1号)に該当しないかが問題となる。

(イ) これについて、278条2項は、株主に割り当てる新株予約権の内容が同一であることを前提としているものと解され、株主平等の原則の趣旨は新株予約権無償割当ての場合についても及ぶものであり、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の企業価値が毀損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても、当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、これを直ちに株主平等原則の趣旨に反するものということはできない。

(ウ) 株主平等原則においては株主をその有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない(109条1項)とされるところ、本件差別条項はXおよびXの関連者を非適格者とし、その株主権の内容を制限する差別的取り扱いである。また、XはZ提出の現経営陣解任の動議に同調しているにすぎず、Xによる経営支配権の取得により、Yの企業価値が毀損され、その利益が害されることになるとはいえず、この取り扱いは衡平の理念に反し、相当性を欠くものであり、株主平等原則の趣旨に反する。

(エ) よって、株主平等原則(109条)違反となり、「法令…に違反」(247条1号)に該当する。

イ.不公正な方法(247条2号)

(ア) 株主に割り当てられる新株予約権の内容に差別のある新株予約権無償割当てが、会社の企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するためではなく、専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するためのものである場合には、敵対的買収者による支配権取得が会社に回復しがたい損害をもたらす事情があるといった株主全体の利益保護の観点から当該新株予約権発行を正当化する特段の事情がない限り、その新株予約権無償割当ては原則として著しく不公正な方法によるものと解すべきである。

(イ) Xは、Y経営陣との間でYの支配権をめぐり争っており、Y経営陣には自らの支配権を維持 する目的が認められる。また、Xの経営権取得により会社に回復しがたい損害をもたらす事情があることはうかがえない。

(ウ) よって、「著しく不公正な方法」(247条2号)に該当する。

(3)②について

   本件新株予約権が行使されることにより、Xの議決権は34.9%から11.8%へと従前の3分の1に低下することになることから、新株予約権発行により株主が不利益を受けるおそれがあるといえる。

4. 以上から、XのYに対する新株予約権発行の差止請求(247条)は認められる。

第2.設問(2)

1. 前記と同様の基準で差止事由の有無を検討する。

2. ①について

 本件新株予約権の発行に際し、株主総会の特別決議を要する場合(例えば有利発行の場合(239条2項、238条2項・3項、309条2項6号))であるにもかかわらず、これを経なかった場合、「法令…に違反」(247条1号)に該当する。

3.②について

  しかし、設問(1)の場合より、Xの持株比率が低い場合、新株予約権発行により株主が不利益を受けるおそれがあるとは必ずしもいえない。

4. 以上から、XのYに対する新株予約権発行の差止請求(247条)は認めらない場合もありうる。

第3.設問(3)

1. 新株予約権の法的性質は形成権であり、これが有効に成立している以上、新株予約権が行使されると会社は新株を交付すべき義務を負う(2条21号参照)。

2. しかし、新株予約権発行は新株発行を当然に予定し、新株予約権発行に瑕疵がある場合、それに続く新株発行もその瑕疵を引き継いでいると解すべきである。

3. よって、新株発行の差止めもなしうると解する。

 

 

注)設問(2)は問題の内容が十分に汲み取れなかったため、あいまいな形になってしまいました。すいません。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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