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Law Practise 民事訴訟法 発展問題5:二重起訴と相殺の抗弁

第1.設問(1)―抗弁先行型

1. Bが本訴において相殺の抗弁に供した債権に基づいて別訴を提起することは重複起訴の禁止(142条)に抵触しないか。

2. 142条の趣旨は、①被告の応訴の負担、②訴訟不経済、③判決の矛盾のおそれの回避にある。

そして、本件のような相殺の抗弁は前訴手続内における防御方法のひとつであって、「係属する事件」とはいえないから、相殺の抗弁として主張している債権について別訴を提起する場合(抗弁先行型)に同条が直接適用されることはない。

  しかし、前訴で提出されている相殺の抗弁は、判決理由中の判断でありながら例外的に既判力を有するため(114条2項)、前訴での相殺の抗弁に関する裁判所の判断と後訴での訴訟物に関する裁判所の判断が矛盾・抵触するおそれがあり、判決の矛盾・抵触のおそれという142条の趣旨は、同様に当てはまる。

3. よって、Bの別訴による売買代金債権の請求は二重起訴の趣旨に抵触し、許されないと解すべきである(142条類推適用)。

もっとも、併合審理がなされれば判断の矛盾抵触のおそれはないのだから、裁判所は、直ちに訴えを却下せず弁論の併合(152条1項)を命ずるべきである。

第2.設問(2)―抗弁後行型

1. Aが本訴で主張している債権をBが提訴した別訴において相殺の抗弁として主張することは重複起訴の禁止(142条)に抵触しないか。

2. 142条の趣旨は、①被告の応訴の負担、②訴訟不経済、③判決の矛盾のおそれの回避にある。

そして、本件のような相殺の抗弁は前訴手続内における防御方法のひとつであって、「係属する事件」とはいえないから、相殺の抗弁として主張している債権について別訴を提起する場合(抗弁後行型)に同条が直接適用されることはない。

  もっとも、別訴で提出されている相殺の抗弁は、判決理由中の判断でありながら例外的に既判力を有するため(114条2項)、前訴での相殺の抗弁に関する裁判所の判断と後訴での訴訟物に関する裁判所の判断が矛盾・抵触するおそれがあることは前記設問(1)の場合と同様であるようにもみえる。

  しかし、本件においてAが相殺の抗弁を提出したのはBによる提訴を契機としたものであり、相殺の担保的機能からAの抗弁提出は正当な防御権の行使として許容されるべきである。

3. よって、Aの相殺の抗弁提出は、二重起訴の趣旨に抵触せず、許される。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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