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Law Practise 民事訴訟法 基本問題11:任意的訴訟担当

Law Practise 民事訴訟法

1. AのB損保会社(以下、Bとする)に対する保険金支払請求訴訟において、Aがユーザーのために当事者として訴訟追行する手段としては、①明文のある任意的訴訟担当である選定当事者(30条)および②明文のない任意的訴訟担当による場合が考えられる。

  以下、それぞれについて検討する。

2.選定当事者として訴訟追行する場合

(1) Aが選定当事者として訴訟追行する場合、Aおよびユーザーが「共同の利益を有する多数の者」(30条)である必要がある。

(2) ここで、「共同の利益を有する多数の者」の意義が問題となるところ、あまりに広く「共同の利益」を認めると弁護士代理の原則(54条1項)の潜脱となるおそれがある。しかし、そもそも選定当事者制度は、多数の共同訴訟人が参加することによる訴訟手続の煩雑化、遅延化を回避し、訴訟の簡略化、能率化を図るために設けられたものである。

そこで、両者の要請を調和し、「共同の利益」とは、多数人間に共同訴訟人となるべき関係(38条)が存在し、かつ主要な攻撃防御方法を共通にする場合をいう(大判昭15・4・9民集19-695)と解する。

(3) Aは、他のユーザーのような被保険者でないことから、共同訴訟人となりうる関係になく、「共同の利益」は認められない。

(4) よって、Aは、選定当事者となりえない

3.明文のない任意的訴訟担当として訴訟追行する場合

(1) では、選定当事者のような明文がある場合以外の明文のないにも、 任意的訴訟担当は許されるか。弁護士代理の原則(541条1項)や訴訟信託の禁止(信託法10条)の趣旨に反しないかが問題となる。

(2) この点、54条1項、信託法10条の趣旨は、いわゆる三百代言の跳梁の防止にある。とすれば、訴訟担当者が三百代言となるおそれのない場合にまで、これを否定する理由はない。また 明文なき任意的訴訟担当は権利保護手段の多様性を確保する上で、その必要性も認められる。

したがって、弁護士代理の原則、訴訟信託の禁止を潜脱するおそれがなく、かつ、これを認める合理的必要がある場合には明文なき任意的訴訟担当も認められると解する。

(3) 本件の訴訟は保険金支払請求権であり、これは本来各ユーザーが保険契約の当事者として行使すべきものである。また、Aはコンピュータの保守会社であり、Aが保険の代理回収を単なる経済上の便宜から行うならば、弁護士代理の原則の趣旨に反するおそれがある。そこで、Aと被保険者との間に社会的、経済的に一体の関係が認められる特別な事情がない場合には、任意的訴訟担当を認める合理的必要があるとはいえず、Aが任意的訴訟担当者として訴訟追行することは認められない。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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