Law Practise 民法ⅠNo.20:表見代理・109条と110条の重畳適用
第1.有権代理構成
1.X→Yの請求
(1)Stg:交換契約に基づく所有権移転登記請求権
(2)Kg:①代理行為 ②顕名 ③代理権の授与
2.Yの反論:Bへの代理権授与なし
3.結論:Yの追認(115)なき限り請求不可
第2.表見代理構成
1.X→Yの請求
(1)法的構成:本件において代理権授与表示があることを前提にしても、その表示によって授与されたと推認される代理権は本件山林の売買契約についてのものであり、交換契約の代理権の授与表示とみることはできない。したがって、民法09条のみによって本件交換契約について表見代理の成立を認めることはできない。また、民法110条の表見代理は、基本代理権の存在を前提とするものであり、本人から何等の代理権を授与されていない代理人の代理行為について直接適用の余地がない。そこで、民法109条により表示された代理権を基本代理権と同視して、これを基礎として民法110条を重畳的に適用して第三者を保護すべき(磯村保「民法判例百選Ⅰ[第6版]」106頁参照)
➡授権表示を越える代理行為があった場合、授権表示された代理権を基本代理権と同視して、授権表示された代理があると信じ、かく信ずべき正当の理由あるとき、109・110の重畳適用により本件交換契約の責に任ずべき(最判昭45・7・28民集24-7-1203)
(2)Stg:交換契約に基づく所有権移転登記請求権
(3)Kg:①Bの代理行為 ②顕名 ③代理権の存在を信じたことについての正当理由 ④代理権授与表示
2.Yの反論:正当理由の不存在(悪意・有過失)
3.結論