Law Practise 民法Ⅰ No.52:法定地上権−共同抵当

No.52:法定地上権−共同抵当 1.Y→A・C:所有権に基づく建物収去土地明渡請求 2.A・Cの反論:法定地上権の成立 (1)法定地上権(388)の要件 ①抵当権設定当時土地・建物が存在 ②土地・建物が同一の所有者に属する ③土地・建物の一方又は双方に抵当権が設定…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題29:証拠保全

1. XのYに対する損害賠償請求訴訟において、Xは証拠保全の申立て(234条)により診療記録の保全をもとめているところ、かかる証拠保全は認められるか。 2. 証拠保全が認められるためには、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが…

Law Practise 商法 No.37:代表取締役の解職

1. Xは、Yに対し、①本件取締役会招集通知に会議の目的が記載されていなかったこと、および②本件決議が不成立であることを理由に代表取締役の地位確認請求をすることになるところ、かかる請求は認容されるか。 以下、それぞれの理由について検討する。 2. …

Law Practise 民法Ⅰ No.51:法定地上権−単独抵当

1.X→Y:配当異議の訴え(∵法定地上権の成立) 2.Yの反論:抵当権設定当時土地・建物が同一の所有者に属しない →法定地上権不成立 (1)法定地上権(388)の要件 ①抵当権設定当時土地・建物が存在(充足) ②土地・建物が同一の所有者に属する ⇒問題 ③土地・…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題28:文書真正の推定

1. 文書の証拠力は、文書の記載内容が証明に役立つことをいい、形式的証拠力(文書成立の真正)とこれを前提とする実質的証拠力(要証事実の認定に役立つ程度)を裁判官が自由な心証で判断する(自由心証主義・247条)。 文書成立の真正とは、当該文書が挙…

Law Practise 商法 No.36:インセンティブ報酬(ストック・オプション)

1. 公開会社において新株予約権を「特に有利な金額」(238条3項2号)で発行する場合、取締役は株主総会においてそのような募集が必要である理由を説明することを要し(238条3項柱書)、募集事項の決定には株主総会の特別決議が必要である(238条1項・2項、2…

Law Practise 民法Ⅰ No.50:抵当権に基づく明渡請求

第1.小問(1)-Cが不法占拠者の場合 1.A→Cの請求 (1)A→C:抵当権に基づく妨害排除請求としての建物明渡請求 ア.Cの反論:抵当権は非占有担保 →抵当不動産の占有関係に干渉できない (ア)抵当権は目的物の交換価値を支配する権利 ➡目的物の交換価値が…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題27:文書提出義務(2)

1. XのY銀行に対する損害賠償請求訴訟において、Xは、自己査定文書(以下、本件文書)につき、文書提出命令の申立て(219条後段)を行っているところ、かかる申立ては、認められるか。 2. これに対し、Yより「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」…

Law Practise 商法 No.35:取締役の報酬規制

第1.設問(1) 1. Yは、Xに対して報酬支払請求をしているところ、かかる請求は認められるか。 2. Xとしては、361条で取締役の報酬等は株主総会の決議で定めるとされ、Yについて無報酬としたのは臨時株主総会で決定された事項であるとの反論をすることにな…

Law Practise 民法Ⅰ No.49:抵当権の効力の及ぶ範囲

1.X→Y:抵当権に基づく返還請求 2.Yの反論:シャンデリアは独立の動産 →抵当権の効力及ばない (1)シャンデリアの性質 ア.「不動産に従として付合した物」(付合物・242)? ➡「従として付合した物」=分離・復旧が社会経済上不利益 ➡シャンデリア=取り…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題26:文書提出義務(1)

1. XのY銀行に対する損害賠償請求訴訟において、Xは、貸出稟議書(以下、本件文書)につき、文書提出命令の申立て(219条後段)を行っているところ、かかる申立ては、認められるか。 2. これに対し、Yより「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(…

Law Practise 商法 No.34:取締役会の承認のない利益相反取引の効力

1. Xは、Yに対し、XB間の本件土地売買が利益相反取引(365条、356条1項2号)にあたることを理由に本件土地の返還請求をする。かかる請求は認容されるか。 2. まず、XB間の売買(本件売買)は、利益相反取引にあたるかが問題となる。 本件において、Xの取締…

Law Practise 民法Ⅰ No.48:物上代位と相殺

1.X→Y:物上代位に基づく賃料支払請求 (1)Yの反論:相殺予約の抗弁 (2)問題:賃料への物上代位と相殺が競合した場合の優劣 ➡抵当権に基づく物上代位の効力は賃料に及ぶ(372・304Ⅰ本文、最判平1・10・27民集43-9-1070) …抵当権設定登記により公示 ➡抵当…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題25:証言拒絶事由

1. XのY(放送局)に対する名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟(以下、本件事件)において、Yの反論を立証するために申請されたBは、証人尋問において取材内容の証言を拒絶することが許されるか。取材内容が「職業の秘密に関する事項」(197条1項3号)に該当…

Law Practise 商法 No.33:取締役の競業避止義務

1. Xは、Yに対し、以下の理由①~③からXの任務懈怠責任(423条1項)に基づく損害賠償請求をすることになる。かかる訴えは認容されるか。 2.理由①について (1) 理由①は、Yが取締役会の承認なく「株式会社の事業の部類に属する取引」を行った(365条、356条…

Law Practise 民法Ⅰ No.47:抵当権に基づく賃料債権への物上代位

1.X→Y:物上代位に基づく賃料支払請求 2.Yの反論:抵当権は価値支配権・非占有担保物権→使用・収益は設定者 ⇒抵当権の効力は賃料に及ばない (1)賃料への物上代位 =使用・収益に干渉しない + 交換価値のなしくずし的実現 (2)抵当権の効力は賃料に及ぶ…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題11:違法収集証拠

1. XのYに対する損害賠償請求訴訟において、Xが提出した送受信記録(以下、本件記録)を裁判所は証拠として採用しうるか。本件記録が違法な手段により得られた証拠方法(違法収集証拠)であることから、その証拠能力の有無が問題となる。 2.自由心証主義(…

Law Practise 商法 No.32:代表取締役の代表権

1. Xは、Yに対し、AX間の賃貸借契約及びAX間の賃料債権譲渡契約に基づいて、賃料支払請求をしている。 2. これに対し、Yは、本件債権譲渡は、「重要な財産の処分及び譲受け」(362条4項1号)にあたり、取締役会決議必要であるにもかかわらず、Bが独断で行…

Law Practise 民法Ⅰ No.46:債権質・担保価値維持義務

第1.設問(1) 1.C→Aの請求 (1)消費貸借契約に基づく貸金返還請求 (2)Aの反論:弁済期未到来 ア.問題提起:AC間の質権設定 + BC間の合意(本件合意a)=期限の利益喪失(137②)? イ.担保価値維持義務:債権が質権の目的とされた場合において、質権…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題10:証明妨害

1. X(契約者)のY(保険会社)に対する保険金支払請求において、事故前の保険料支払の有無 が争点となっているところ、領収書に支払日の記載がないことが証明妨害法理により、Yの抗弁を排斥しえないか。 2. まず、本件は証明妨害法理について認められた明…

Law Practise 商法 No.31:株式会社の機関設計と権限分配

1. 会社法は、定款自治の観点から、会社法の規定に違反しない事項を記載することができるとし(29条)、取締役会設置会社においては「株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」(295条2項)。 Yは、取締役…

Law Practise 民法Ⅰ No.44:所有権留保と動産先取特権

第1.設問(1) 1.C→D:動産乙の返還請求(a) (1)C→D:所有権に基づく返還請求 ∵所有権留保 ➡所有権留保の法的構成:所有権は売主に属し、買主は利用権と代金完済という停止条件の成就によって所有権を取得する期待権を有するにすぎない(所有権的構成・…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題24:証明責任の分配

1. XのYに対する建物収去土地明渡訴訟において、Yの主張が認められるためには、XY間の信頼関係が破壊されてないことが証明される必要がある。 2. そこで、信頼関係破壊の証明責任は誰が負担するかが問題となる。 (1) 証明責任とは、ある事実が真偽不明の…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題24:証明責任の分配

1. XのYに対する建物収去土地明渡訴訟において、Yの主張が認められるためには、XY間の信頼関係が破壊されてないことが証明される必要がある。 2. そこで、信頼関係破壊の証明責任は誰が負担するかが問題となる。 (1) 証明責任とは、ある事実が真偽不明の…

司法試験合格発表から一夜明けて…

今年の司法試験を受験された方、昨日はいかが過ごされたでしょうか? 無事合格された方にとっても、残念ながら苦杯を舐めた方にも平等に朝は来ます。 合格された方には修習が待ってます。来月の下旬には事前課題がどっさり送られて来ますし、修習に向けて勉…

Law Practise 商法 No.30:種類株主総会決議の要否

第1.設問(1) 1. 種類株式発行会社が「322条1各号所定の行為をする場合」において、「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれ」があるときは、その種類株主総会決議がなければ、効力を生じない(322条1項)とされるところ、本件においてYは、Dとの…

Law Practise 民法Ⅰ No.43:留置権の成立および効力

1.D→C:所有権に基づく土地明渡請求 ➡D:留置権(298)に基づく拒絶(Kg:①被担保債権の発生原因 ②占有 ③権利主張) 2.請負代金債権を被担保債権とする拒絶 (1)Cの反論:被担保債権=建物について生じた債権 →土地について生じた債権でない(土地の留置…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題9:損害額の立証

1. XのY1・Y2に対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、Xのこうむった損害額が争点となっている。ここで、損害額は違反行為によって形成された価格(現実価格)と違反行為がなければ形成されていた価格(想定価格)との差額であるが、損害額は要…

Law Practise 商法 No.29:株主総会取消訴訟の訴えの利益

第1.〈文1〉について 1.設問(1) (1) Xは、Yに対し、以下の理由に基づき、株主総会決議取消しの訴え(831条1項)を提起すべきである。 (2)取消事由 ア.Yは取締役会設置会社であり、株主総会の召集は取締役会により決定されるところ(298条4項・1項)…

Law Practise 民法Ⅰ No.42:占有と相続

1.D→Eの請求 (1)Stg:所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転党請求 (2)Kg:①Dの占有開始(1992.10.1)②①より20年間経過(2002.10.1) ③時効の援用 ④Eの登記(Eは時効完成前の第三者) 2.Eの反論:Dの時効取得には「所有の意思をもって」占有…