Law Practise 民事訴訟法

Law Practise 民事訴訟法 基本問題24:証明責任の分配

1. XのYに対する建物収去土地明渡訴訟において、Yの主張が認められるためには、XY間の信頼関係が破壊されてないことが証明される必要がある。 2. そこで、信頼関係破壊の証明責任は誰が負担するかが問題となる。 (1) 証明責任とは、ある事実が真偽不明の…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題9:損害額の立証

1. XのY1・Y2に対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、Xのこうむった損害額が争点となっている。ここで、損害額は違反行為によって形成された価格(現実価格)と違反行為がなければ形成されていた価格(想定価格)との差額であるが、損害額は要…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題23:訴訟上の証明

1. 本件において、A大学病院が行ったルンバール施術(以下、本件施術)と脳出血との因果関係が争点となっているところ、Xの主張通りの因果関係の認定をなしうるか。因果関係の存在は要証事実であり、証明の対象となることから、Xが本件施術とXの障害との因…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題22:訴訟手続の中断・受継

1. 本件において、控訴審裁判所はいかなる措置をすべきか。第1審係属中日本政府が行ったX国に代えてZ国を承認した本件国家承認により当事者の変動が生じたか、中断・受継の必要があったかが問題となる。 2.当事者変動の有無 (1) 当事者の確定基準につい…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題21:自白の撤回

1. Yの代理人Aは、Xの主張を認める陳述をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、自白者は原則として自白と矛盾する内容の陳述をすることが許されなくなることから(不可撤回効)、①裁判上の自白の成否、②撤回の可否が問題となる。 2.①…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題20:権利自白

1. Yは、包括的一般的過失の存在を認める陳述(以下、本件陳述)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、裁判所は証拠調べをすることなく…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題19:間接事実の自白

1. Xは、XA間の売買の事実に関する自白(以下、本件自白)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、①裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、②自白者は原則として自白と矛盾する内…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題18:釈明義務

1. 本件はX署名部分の成立の真正が重要な争点であるところ、控訴審は、かかる重要な書証の成立について釈明権の行使をせずに第1審の判断を覆した点に釈明義務違反があるか。 2. 民訴法は事件の内容をなす事実関係や法律関係を明らかにするため、当事者に対…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題20:権利自白

1. Yは、包括的一般的過失の存在を認める陳述(以下、本件陳述)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、裁判所は証拠調べをすることなく…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題19:間接事実の自白

1. Xは、XA間の売買の事実に関する自白(以下、本件自白)をしているところ、これが裁判上の自白(179条)に該当すれば、①裁判所は自白をそのまま判決の基礎としなければならず(弁論主義の第2テーゼ・裁判所拘束力)、②自白者は原則として自白と矛盾する内…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題18:釈明義務

1. 本件はX署名部分の成立の真正が重要な争点であるところ、控訴審は、かかる重要な書証の成立について釈明権の行使をせずに第1審の判断を覆した点に釈明義務違反があるか。 2. 民訴法は事件の内容をなす事実関係や法律関係を明らかにするため、当事者に対…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題8:弁論主義(2)

1. XのYに対する消費貸借契約に基づく貸金支払請求訴訟において、裁判所が当事者の主張していない事実(公序良俗違反)を認定することは弁論主義違反とならないか。 2. ここで、弁論主義とは裁判の基礎となる事実の確定に必要な資料(訴訟資料)の収集・提…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題17:弁論主義(1)

1. XのYに対する共有持分権に基づく所有権移転登記請求訴訟において、裁判所が当事者の主張していないAB間の死因贈与事実を認定することは、弁論主義違反とならないか。 2. ここで、弁論主義とは裁判の基礎となる事実の確定に必要な資料(訴訟資料)の収集…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題16:弁論準備手続(答案構成のみ)

第1.設問(1) 1.弁論準備手続=「争点及び証拠の整理を行うため」(168)、口頭弁論前に当事者双方がその主張・証拠をあらかじめ提出して争点・証拠を審理するため特別な期日を開き協議する手続き ➡当事者双方の立ち会いを保障(169Ⅰ)+原則非公開(169Ⅱ…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題15:時機に遅れた攻撃防御方法

第1.本問 1. Yは、建物買取請求権(借地借家法14条 )を訴訟上行使しているが、集中証拠調べ終了時点になされており、時機に後れた攻撃防御方法(157条1項)により却下されないか。 2. 157条は、当事者が①「故意又は重大な過失により」②「時機に後れて提…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題14:訴え取下げの合意

第1.設問前段 1. XY間の和解契約により、訴え取り下げの合意がなされている。このような訴え取下げの合意は、管轄の合意(11条)と異なり、明文の規定を欠くことから、その適法性が問題となる。 (1) 民事訴訟は、多数の事件を円滑・迅速に処理するため訴…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題6:引換給付判決と処分権主義

第1.設問(ⅰ) 1. 処分権主義とは、訴訟手続の開始・審判対象の特定・訴訟の終結などについて当事者の自主的判断に委ねる建前であり、その趣旨は、①訴訟外では私的自治の原則が妥当するところ、私的紛争の公権的解決手段たる民事訴訟法上でも当事者の意思…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題12:訴訟物

第1.設問(1) 1. 原告Aは、治療費100万円、逸失利益800万円および慰謝料300万円の合計1200万円の支払いを求めている。これに対し、裁判所は、治療費50万円、逸失利益500万円および慰謝料450万円の合計1000万円の支払い(判決事項)を命じる判決をすること…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題5:二重起訴と相殺の抗弁

第1.設問(1)―抗弁先行型 1. Bが本訴において相殺の抗弁に供した債権に基づいて別訴を提起することは重複起訴の禁止(142条)に抵触しないか。 2. 142条の趣旨は、①被告の応訴の負担、②訴訟不経済、③判決の矛盾のおそれの回避にある。 そして、本件のよ…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題11:任意的訴訟担当

1. AのB損保会社(以下、Bとする)に対する保険金支払請求訴訟において、Aがユーザーのために当事者として訴訟追行する手段としては、①明文のある任意的訴訟担当である選定当事者(30条)および②明文のない任意的訴訟担当による場合が考えられる。 以下、そ…

Law Practise 民事訴訟法 発展問題4:確認の利益(2)―敷金返還請求権

1. XのYに対する保証金返還請求権確認訴訟は適法か。訴えの利益の有無が問題となる。 2. 訴えの利益とは、本案判決をすることの必要性・実効性を個々の請求について審査するための訴訟要件であり、対象が無限定、判決に執行力がなく、紛争解決方法として迂…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題9:確認の利益(1)―遺言無効確認の訴え

第1.設問前段 1. X1のYに対する遺言無効確認の訴えは適法か。①当事者適格および②訴えの利益の有無が問題となる。 2.原告適格の有無 (1) 本件では、X1のみが提訴しているが、かかる提訴は適法か。遺言無効確認の訴えは固有必要的共同訴訟にあたらないか…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題8:将来給付の訴え

1. Xは、Yに対し、将来の損害に対する損害賠償請求をなしうるか。この訴えは、口頭弁論終結後に現実化される給付義務を主張するものであり(将来給付の訴え)、①訴えの利益の有無および②原告適格の有無が問題となる。 2.訴えの利益の有無 (1) 将来給付の…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題7:筆界確定訴訟

第1.設問前段 1. XのYに対する訴訟において、裁判所は認容判決をなしうるか。本件は、筆界確定訴訟であり、Xに当事者適格が認められるかが問題となる。 2. 当事者適格とは、訴訟物たる権利または法律関係について当事者として訴訟を追行し本案判決を求め…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題6:代表権と表見代理

1. Y社は、Xに対し、第一審判決の取消し(却下判決)を求め控訴を提起している(306条参照)。 2. これに対し、Yはその理由として、訴状にY代表取締役として記載されているAは代表取締役でないことを挙げている。そこで、その当否が問題となる。 (1) 民…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題5:当事者能力

1. XのY社に対する訴えは認容されるか。 2. これに対し、Y社からはXは権利能力なき社団であり、当事者能力がないことが反論として主張されることになる。 (1) 当事者能力は訴訟要件であり、当事者能力の欠缺場合、訴えは不適法となり、裁判所は却下判決…

Law Practise 民事訴訟法 基本問題4:当事者の確定

【実質的表示説】 1. Yは、Xに対し、請求異議の訴えを提起し、XA間の訴訟の判決はA死亡後になされたものであり無効判決であると主張することになる。 2. では、上記Yの主張は認められるか。XA間の判決の効力の有無が問題となる。 (1) まず、当事者の実在…