Law Practise 商法

Law Practise 商法 No.56:表見支配人

1. Aは、Bの振り出した手形(以下、本件手形)に対しY福岡支店長の名義で裏書(以下、本件裏書)をしている。そこで、Xは、Aが「表見支配人」(会社法(以下、法令名略)13条)であるとして、Yに対する手形金請求をすることが考えられる。 ここで、表見支配…

Law Practise 商法 No.54:商号使用許諾者の責任  

1. Xは、Yに対して、会社法9条および民法415条に基づく損害賠償を請求しているところ、かかる請求は認められるか。 2. 会社法9条は商号使用許諾者の責任について規定されているところ、①会社が「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾」…

Law Practise 商法 No.51:会社分割における会社債権者の保護

1. Xは、Y2に対して、詐害行為取消訴訟(民法425条)を提起して、リース料残額債権および遅延損害金を請求している。かかる訴えは認められるか。 2. 詐害行為取消権の成立要件は、①被保全債権が存在すること、②債務者が①の発生後に債務者の財産権を目的と…

Law Practise 商法 No.50:合併の差止め

第1.Y1・Aの合併 1.Xは、Y1・Aの合併をやめさせるために、Y1に対し、合併の差止めを請求(784条の2)することが考えられる。 (1) 合併の差止請求が認められるためには、①784条の2各号に定める場合であること及び➁消滅株式会社等の株主が不利益を受けるお…

Law Practise 商法 No.49:株式買取請求にかかる公正な価格

1. YのXに対する株式買取請求(785条1項)による協議不調の結果、Xは裁判所に対し価格決定の申立て(786条2項)を行っている。 本問においては、裁判所はどのような額を買取価格として定めるかが問題となる。 2. 株式買取請求権の趣旨は、吸収合併等という…

Law Practise 商法 No.46:分配可能額を超える剰余金の配当の効力

第1.株主に対する請求 1. X社のY1に対する462条1項に基づく金銭支払請求は認められるか。 剰余金の配当は、配可能額を超えてはならず(461条1項柱書・同8号)、会社が分配可能額を超えて剰余金配当をした場合、違法配当として、会社は、株主及び業務執行者…

Law Practise 商法 No.45:会計帳簿・株式名簿の閲覧請求

1. XのYに対する会計帳簿の閲覧請求(433条)は認められるか。 (1) 会計帳簿の閲覧請求には、議決権または発行済株式の100分の3以上の株式を有する株式であることが必要であるところ(少数株主権・433条1項)、Xは、Yの株式の10パーセントを保有しており…

Law Practise 商法 No.44:監査役の義務と責任

第1.設問(1) 1.Xは、監査役Yの解任をなしうるか。 (1) 監査役を解任するには株主総会の特別決議が必要であり(339条1項、309条2項7号) 、監査役はこれに対し意見を述べることができる(345条4項)。Xは、これらの手続きを経ることでYを解任しうる。 …

Law Practise 商法 No.43:登記簿上の取締役の第三者に対する責任

第1.Y1に対する請求 1. Xは、Y1に対し429条1項に基づく損害賠償請求を提起しているところ、かかる訴えは認められるか。 429条1項の責任が認められるためには、①役員等が②その職務を行うについて悪意又は重大な過失③第三者に損害発生④②③間の因果関係が存す…

Law Practise 商法 No.42:取締役の第三者に対する責任

第1.X1の請求 1. X1は、Y1・Y2に対し429条1項に基づく損害賠償請求を提起しているところ、かかる訴えは認められるか。 429条1項の責任が認められるためには、①役員等が②その職務を行うについて悪意又は重大な過失③第三者に損害発生④②③間の因果関係が存する…

Law Practise 商法 No.41:株主代表訴訟

1. Xは、株主代表訴訟(847条3項)でYの任務懈怠責任(423条1項)を追求しうるか。 2. Xは、株主代表訴訟提起に先立ち、Aに対し、Yへの「責任追及等の訴え」提起を請求する必要があるところ(847条1項)、提訴請求が不適法であれば、訴えはふて法却下され…

Law Practise 商法 No.40:法令違反と取締役の責任

1. Xは、Y1‐Y3に対し、Y1らの法令違反の結果、Aに損害を与えたことが任務懈怠(423条1項)に当たるとして、株主代表訴訟(847条1項)により損害賠償責任を追求しているところ、かかる請求は認められるか。 2. 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条)…

Law Practise 商法 No.39:内部統制構築義務  

1. Xは、Yに対し、内部統制構築義務違反の結果、Aに損害を与えたことが任務懈怠(423条1項)に当たるとして、株主代表訴訟(847条1項)により損害賠償責任を追求しているところ、かかる請求は認められるか。 2. 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条…

Law Practise 商法 No.38:経営判断の原則

1. Xは、Y1‐Y3に対し、Bに対する融資の結果、Aに損害を与えたことが任務懈怠(423条1項)に当たるとして、株主代表訴訟(847条1項)により損害賠償責任を追求しているところ、かかる請求は認められるか。 2. 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条)お…

Law Practise 商法 No.37:代表取締役の解職

1. Xは、Yに対し、①本件取締役会招集通知に会議の目的が記載されていなかったこと、および②本件決議が不成立であることを理由に代表取締役の地位確認請求をすることになるところ、かかる請求は認容されるか。 以下、それぞれの理由について検討する。 2. …

Law Practise 商法 No.36:インセンティブ報酬(ストック・オプション)

1. 公開会社において新株予約権を「特に有利な金額」(238条3項2号)で発行する場合、取締役は株主総会においてそのような募集が必要である理由を説明することを要し(238条3項柱書)、募集事項の決定には株主総会の特別決議が必要である(238条1項・2項、2…

Law Practise 商法 No.35:取締役の報酬規制

第1.設問(1) 1. Yは、Xに対して報酬支払請求をしているところ、かかる請求は認められるか。 2. Xとしては、361条で取締役の報酬等は株主総会の決議で定めるとされ、Yについて無報酬としたのは臨時株主総会で決定された事項であるとの反論をすることにな…

Law Practise 商法 No.34:取締役会の承認のない利益相反取引の効力

1. Xは、Yに対し、XB間の本件土地売買が利益相反取引(365条、356条1項2号)にあたることを理由に本件土地の返還請求をする。かかる請求は認容されるか。 2. まず、XB間の売買(本件売買)は、利益相反取引にあたるかが問題となる。 本件において、Xの取締…

Law Practise 商法 No.33:取締役の競業避止義務

1. Xは、Yに対し、以下の理由①~③からXの任務懈怠責任(423条1項)に基づく損害賠償請求をすることになる。かかる訴えは認容されるか。 2.理由①について (1) 理由①は、Yが取締役会の承認なく「株式会社の事業の部類に属する取引」を行った(365条、356条…

Law Practise 商法 No.32:代表取締役の代表権

1. Xは、Yに対し、AX間の賃貸借契約及びAX間の賃料債権譲渡契約に基づいて、賃料支払請求をしている。 2. これに対し、Yは、本件債権譲渡は、「重要な財産の処分及び譲受け」(362条4項1号)にあたり、取締役会決議必要であるにもかかわらず、Bが独断で行…

Law Practise 商法 No.31:株式会社の機関設計と権限分配

1. 会社法は、定款自治の観点から、会社法の規定に違反しない事項を記載することができるとし(29条)、取締役会設置会社においては「株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」(295条2項)。 Yは、取締役…

Law Practise 商法 No.30:種類株主総会決議の要否

第1.設問(1) 1. 種類株式発行会社が「322条1各号所定の行為をする場合」において、「ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれ」があるときは、その種類株主総会決議がなければ、効力を生じない(322条1項)とされるところ、本件においてYは、Dとの…

Law Practise 商法 No.29:株主総会取消訴訟の訴えの利益

第1.〈文1〉について 1.設問(1) (1) Xは、Yに対し、以下の理由に基づき、株主総会決議取消しの訴え(831条1項)を提起すべきである。 (2)取消事由 ア.Yは取締役会設置会社であり、株主総会の召集は取締役会により決定されるところ(298条4項・1項)…

Law Practise 商法 No.28:株主総会決議取消しの訴え

第1.設問(1) 1. 株主総会の招集に際し、取締役は株主に対してその通知を発しなければならないところ(299条1項)、本件総会の招集通知は、C・Dに召集通知発せられなかった。このことが召集手続きの法令違反(831条1項1号)にあたるとして、Xは、Yに対し…

Law Practise 商法 No.27:委任状勧誘

1. Xは、Yに対し、以下の理由に基づき本件決議の議取消しの訴え(831条1項)を提起する。 (1) 議決権の代理行使の勧誘は、代理権の授与に関し参考となるべき事項として内閣府令で定めるものを記載した書類を交付しなければならないところ(金商法施行令(…

Law Practise 商法 No.26:株主提案権

第1.本件取締役会提出議案可決を争う場合 1. 株主には、議題提案権(303条)、議案提案権(304条)および議案通知請求権(305条)が認められているところ、Xが行った本件定款変更提案をYは303条・305条に従い、本件総会の議題とし、議案の要領を招集通知に…

Law Practise 商法 No.25:取締役の説明義務

1. Xは、Yに対し代表取締役Dの説明義務(314条本文)違反が決議方法の法令違反であることを理由に株主総会決議取消しの訴え(831条)を提起する。かかる訴えは認められるか。 2. これに対し、Yは、Xの質問事項がABCのプライバシー侵害になり、「株式会社そ…

Law Practise 商法 No.24:議決権行使の代理人資格の制限

1. Yは、その定款に議決権行使の代理人資格を株主に限定する規定を有するところ、Yの株主であるAがその娘Bに代理権を授与して議決権を行使させたことが「決議の方法が…定款に違反」(831条1項1号)に当たるとして、Xは、Yに対し本件株主総会決議取消しの訴…

Law Practise 商法 No.23:全員出席総会

第1.設問(1) 1.訴えの選択(設問前段) (1) Xとしては、本件決議には招集手続きに関する重大な法令違反があることを理由に株主総会決議不存在確認の訴え(830条1項)を提起することが考えられる。 (2) そこで、本件決議に決議不存在事由が存在するか…

Law Practise 商法 No.22:閉鎖会社における新株発行の無効事由

1. XがYに対して提起した新株発行無効の訴え(828条1項2号)は認められるか。 2. 新株発行の無効は、原則として誰でもいつでも無効主張できるはずである。しかしながら、同号は無効事由を明記していない。そこで、本件のような非公開会社における株主総会…

Law Practise 商法 No.21:新株発行の無効事由

1. Xは、Yに対し、新株発行無効の訴え(828条1項2号)を提起することが考えられるところ、同号は無効事由を明記していないことから、その判断基準が問題となる。 株式発行に暇疵がある場合、原則として誰でもいつでも無効主張できるはずである。しかし、設…

Law Practise 商法 No.20:有利発行・不公正発行と取締役の責任

第1.設問(1) 1. Xは、Yに対し株主代表訴訟(847条1項)により任務懈怠責任(423)に基づく損害賠償請求は 認められるか。 2. そこで、Yが「任務を怠った」といえるかが問題となる。 (1) 取締役は、善管注意義務(330条、民法660条)および忠実義務(3…

Law Practise 商法 No.19:新株・新株予約権の不公正発行

第1.設問(1) 1. XによるYの新株発行の差止請求(210条)は認められるか。 新株発行の差止めの要件は、①210条1号・2号列挙事由の存在および②株主が不利益を受けるおそれがあること(210条柱書)である。以下、各要件について検討する。 2.①について (1…

Law Practise 商法 No.18:新株予約権の無償割当

第1.設問(1) 1. XのYに対する新株予約権発行の差止請求(247条)は認められるか。 2. しかし、247条は募集新株予約権の発行(238条)を対象としており、新株予約権の無償割当てに直接適用しえない。しかし、有償発行も無償発行も株主の地位に変動を生ず…

Law Practise 商法 No.17:新株の有利発行

1. XらのYに対する新株発行の差止請求(210条)は認められるか。 新株発行の差止請求が認められるためには、①210条1号・2号事由の存在および②株主が不利益を受けるおそれが必要である。 2.①について (1)法令又は定款に違反について(210条1号) ア.第三…

Law Practise 商法 No.16:違法な自己株式取得の効力

No.16:違法な自己株式取得の効力 第1.設問(1) 1. Yは、Xに対し本件自己株式取得の無効主張をなしうるか。 2. 特定の株主からの自己株式の取得には、①株主総会の特別決議(160条1項、309条2項2号)及び②株主への通知(160条2項)が必要であるところ、X…

Law Practise 商法 No.15:契約による株式の譲渡制限

1. 127違反の有無 (1) 株主は、その有する株式を自由に譲渡することができるのが原則である(株式讓渡自由の原則・127条)。 Y社は従業員持ち株制度を採用し、本件合意により譲渡先とその価額を制限している(契約による株式譲渡制限) かかる合意は、127…

Law Practise 商法 No.14:定款による株式の譲渡制限

第1.設問(1) 1. X社のY1社に対する株主の地位不存在確認請求は認められるか。 2. X社は定款で譲渡制限が設けられていたことから、CからY1社に対するX社取締役会の承認を欠く株式譲渡の効力が問題となる。 (1) 株主の投下資本の回収を図る必要性がある…

Law Practise 商法 No.13:個別株主通知(構成のみ)

1.X:価格決定の申立て(117Ⅱ) →Y社の反論:個別株主通知(保振147Ⅳ、154Ⅲ-Ⅴ)なし 2.価格決定の申立てが「少数株主権等」(147Ⅳ)に含まれるか? (1)「少数株主権等」=集団的権利行使がなされる場合以外の権利 ∵権利行使者確定方法が総株主通知と個別…

Law Practise 商法 No.12:名義書換の未了

第1.設問(1) 1. Aは、Y社に対し、本件割当撤回の無効を主張し、株式の交付請求は認められるか。 2. Aは、自己の株式をBに譲渡しており、株主名簿の名義書換は未了である。そこで、AがY社に対し、株主の地位を対抗しうるかが問題となる。 (1) Y社は株…

Law Practise 商法 No.11:利益供与

第1.設問(1) 1. Xは、A社より利益供与を受けた筆頭株主Zの議決権行使により成立した本件決議に「株主総会等の…決議の方法」の法令違反(831条1項1号)にあたるとして、株主総会等の決議の取消しの訴えを提起することが考えられる。 以下、法令違反の有無…

Law Practise 商法 No.10:株主平等の原則

第1.設問(1) 1. Xは、Yに対し、本件契約に基づく金員支払請求をなしうるか。本件契約は大株主であるXに対してのみ金員を支払うことを内容としているものであるから、株主平等原則(109条1項)に反し無効とならないかが問題となる。 2. 株主平等原則とは…

Law Practise 商法 No.9:全部取得条項付種類株式

第1.設問(1) 1.Xの地位 (1) Y社は、種類株式発行会社でない。しかし、このような会社でも、①種類株式発行のための定款変更決議(108条1項7号、466条、309条2項11号)、②取得価額決定方法(171条1項1号)を定める定款変更決議(108条2項7号、466条、309…

Law Practise 商法 No.8:種類株式

第1.設問(1) 1. Xの株式は、議決権制限種類株式(完全無議決権株式、108条1項3号)であり、議決権を行使できる事項に限って少数株主権を行使できる。 2. では、Xは株主総会議事録閲覧・謄写請求権(318条4項)を行使できるか、318条4項は「株主及び債権…

Law Practise 商法 No.7:相続による株式の準共有

第1.設問(1) 1.株主総会決議取消訴訟の可否 (1) Xとしては、招集手続きに瑕疵があるとして、株主総会決議取消訴訟(831条1項1号)を提起することが考えられる。 (2) 本件では、株式の共同相続(民法898条)により株式が準共有(同264条)の状態にあ…

Law Practise 商法 No.6:払込みの仮装

第1.設問(1) 1.Y1による払込みの効力 (1) 預合とは、発起人が払込取扱銀行から金銭を借り入れ、これを設立中の会社の預金に振り替えて株式の払込みにあてるが、その借入金を返済するまではその預金を引き出さないことを約することであり、Y1の払込みは…

Law Practise 商法 No.5:定款に記載のない財産引受けの効力

第1.設問(1) 1. 本件購入契約は、「会社の成立後に財産を譲り受けることを約したもの」(財産引受)であり、定款に記載しなければ効力を生じない(28条2号) したがって、Xは甲会社の定款にその旨の記載がない限り、Y会社に請求することができないのが原…

Law Practise 商法 No.4:現物出資

第1.株主代表訴訟 1. Xは、Y1-Y5に対し株主代表訴訟(847条1項)により「発起人、設立時取締役…の責任を追及する訴え」として以下の責任を追求する。 2.価額填補責任 (1) 現物出資は、変態設立事項として、資本充実の原則から厳格な規制に服し、定款の…