Law Practise 民法Ⅱ No.12:他人物売買

1.XのYに対する既払代金請求

(1)Stg:契約解除に基づく現状回復請求

(2)Kg

①売買契約の締結

②①当時、目的物が第三者の所有に属していたこと

③①の後、売主が所有権を取得できなかったこと

④解除の意思表示

⑤代金を支払ったこと

2.XのYに対する561に基づく損害賠償請求

(1)Stg:561に基づく損害賠償請求権

(2)Kg:

①売買契約の締結

②①当時、目的物が第三者の所有に属していたこと

③①の後、売主が所有権を取得できなかったこと

④解除の意思表示

⑤損害の発生及びその額

(3)Yの反論

ア.Yに帰責事由なし(債務不履行説)➡帰責性不要(法定責任説:判例

イ.Xの悪意

3.XのYに対する415に基づく損害賠償請求

(1)Stg債務不履行に基づく損害賠償請求権

(2)Kg

①売買契約の締結

②債務の本旨に従った履行がないこと

③損害の発生及びその額

④②③の因果関係

(3)Yの反論:帰責性の不存在

 

Law Practice 民法II 債権編〔第2版〕

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  • 作者: 千葉恵美子,潮見佳男,片山直也
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いまさら…ですが…

行政書士試験まであと1週間です。

今、近所のドトールでお茶しています。

となりでせっせと行政書士試験の参考書をシャーペン片手に読んでる男性が座ってます。

余計なお世話ですが…此の期に及んでは、インプットよりも、アウトプット中心に勉強されるほうがいいと思います。

前にも書いたつもりですが、行政書士試験の記述は採点が辛いです。ということは、選択式の部分で勝負が決まります。記述式は急に点数が伸びることはないかもしれませんが、選択式は直前の勉強でも、何点か稼げる可能性があります。

では、何をするか?

だれがなんと言おうと、過去問です。

試験によって、選択肢の肢の作り方は微妙にクセがあるように思いますし、毎年、何問か直近の過去問の焼き直しみたいな問題は絶対でます。そういう意味で過去問に手を付けてない人はとくに過去問を今のうちに解いてみてください!

では、どうやるか?

これはあくまで私が短答式(行政書士試験を含む)を受ける際にやってたことですが、まず、過去問をダウンロードして、B4に2頁見開きでコピーします(その際、表紙を入れてしまうと見開きの意味がなくなる場合が多いので2頁から最後(場合によっては科目の最後)まで)。

次に、解きます!それも鉛筆・シャーペンは使いません。黒のボールペンで各肢の正誤をはっきりとするように!

その後、分からなかった問題には赤ペンでコメントを書き込みます。書き込むのは、条文の条数や文言、判例のフレーズ、紛らわしい他の概念、場合によっては紙の裏に表なんかも書き込みます。

それで、自分用の参考書が出来上がります。

あと、1週間ありますから、3年分の過去問は検討できるはずです!ただ、ここ数年改正が多いので、改正法には気をつけてください!

実は、私は悪しき完璧主義のせいで、試験勉強という点では、ムダなことをしていた気がします。隅から隅までインプットしても、出ないことをやっても意味がありません。どういう分野がどういうふうに出題されるか、過去問を解いてはじめて分かるし、解かなければ分かりません。過去問こそが最大の情報源です。

また、偉そうなことを書きましたごめんなさい!

 

Law Practise 民事訴訟法 発展問題16:主観的追加的併合

1. Xは、Y1に対する損害賠償請求訴訟係属中、Y2を被告に追加することをなしうるか。このばあい、Xによる別訴提起する方法が考えられるところ、かかる方法は、Xにとって煩雑であり、従来の訴訟資料をXZ間の訴訟で用いることができないという不都合がある。

2. そこで、紛争の統一的かつ一回的解決を図るべく、XにZに対する請求を併合する申立てをする権能(主観的追加的併合の申立権)が認められないか。かかる当事者の権能を認めた明文がないことから、問題となる。

(1) この点、判例は、主観的追加的併合を一般的に否定し、当事者としては別訴を提起して裁判所の弁論の併合(152条)によるべきとする(否定説・最判昭62・7・17民集41-5-1402)。

その理由は、主観的追加的併合を認める明文規定がなく、肯定説に立つと濫訴や訴訟遅延の危険があること、そして係属中の訴訟手続の結果が当事者の援用・同意なくして新当事者との間の審判に当然に利用できるとは限らないことが挙げられる。

(2) しかし、主観的追加的併合を否定することにより共同訴訟形態の利用による審理の重複の防止や裁判の矛盾を避けるという効用を受ける当事者の利益をあまりに害するもので妥当でなく、訴訟遅延の危険という不都合性に対しては弁論の分離で対応すれば足り、主観的追加的併合形態では別訴の提起の場合と異なり印紙の貼用が不要ではあるが、それがために必ずしも濫訴を招くとはいえない。

(3) したがって、併合の主観的要件(38条)がみたされる場合には主観的追加的併合を許容すべきであり、Y2の審級の利益を保護するため、Xの主観的追加的併合の申立てが許されるのは第1審係属中に限定される(XのYに対する請求が控訴審・上告審に係属している場合、別訴提起によるべきである)。

3. XとしてはY1に対する請求にY2に対する請求を追加的に併合する申立てをなしうる。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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Law Practise 商法 No.49:株式買取請求にかかる公正な価格

1. YのXに対する株式買取請求(785条1項)による協議不調の結果、Xは裁判所に対し価格決定の申立て(786条2項)を行っている。

  本問においては、裁判所はどのような額を買取価格として定めるかが問題となる。

2. 株式買取請求権の趣旨は、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為に反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主に吸収合併等がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保し、吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生ずる場合にはこれを適切に分配し得るものとすることにより、株主に一定の利益を保証することにあることから、裁判所による買取価格の決定は、「公正な価格」(785条1項)を形成するものであり、法が価格決定の基準について格別の規定を置いていないことから、その決定は裁判所の合理的な裁量に委ねられているものと解される。

上記買取請求権の趣旨から、「公正な価格」とは、吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合には、原則として、当該株式買取請求がされた日における「ナカリセバ価格」(組織再編行為がなかったならば有すべきであった公正な価格)をいう(最決平23・4・19民集65-3-1311)。

しかし、本問のような株式交換の前提として公開買付けが行われた二段階買取りの場合においては公開買付けに応じないと株式交換の際に公開買付けよりも低い価格で締め出される可能性があると同時にその不利益を嫌って公開買付に応じざるを得ないという不当な事態を招くおそれがあることから(強圧的買収の抑制)、株式買取価格決定の際の「公正な価格」は、原則として、当該公開買付価格および当該基準価格を下回ることはないと解するのが相当である(東京地決平21・3・31判タ1296-118)。

3. したがって、本問においては、裁判所は、公開買付時の価格(1700)を最低価格として、買取価格決定すべきである。

 

Law Practice 商法〔第2版〕

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Law Practise 民法Ⅱ No.11:危険負担

1.XのYに対する請求

(1)Stg:売買契約に基づく代金支払請求

(2)Kg:売買契約の締結

2.Yの反論:目的物の滅失

(1)危険負担(債権者主義・534条)➡Xの再反論:現実の支配必要(債権者主義の制限)

∵Zへの売買 (→直ちに履行不能とはならない)

(2)他人物売買 →解除(561条)

(3)債務不履行解除(415条、543条)➡二重売買 →不能?(cf.社会通念により判断)

 

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Law Practise 民事訴訟法 基本問題39:訴えの変更

1. Xは、甲家屋の引渡しおよび所有権移転登記請求(旧請求)を履行不能による損害賠償請求(新請求)に変更することを申し立てている。このような訴えの交換的変更は認められるか。

(1) 訴えの交換的変更の要件についてはその法的性格と関連して問題となる。

(2) これについて判例は、訴えの追加的変更および訴えの取下げを組み合わせたものとし(複合行為説・最判昭32・2・28民集11-2-374)、訴えの変更の要件(143条1項)のほか、「相手方の同意」(261条2項)が必要となる(もっとも、変更の原因を相手方が作った場合、信義則上(2条)同意は不要と解すべきである)。

しかし、この見解では新請求の審判のために旧請求の訴訟資料を用いることができることを説明できず、妥当でない。

そこで、訴えの交換的変更は、訴えの変更の独自の一類型であると考えるべきであり(独自類型説)、①請求の基礎に変更がないこと、②口頭弁論終結前であること、③著しく訴訟手続を遅滞させないことという143条1項所定の要件を充足すれば足りる(もっとも、相手方の利益を考慮して相手方の同意を要するとする見解も有力である)。

(3) 以下、上記各要件の充足性について検討する。

   まず、①「請求の基礎に変更がない」(請求の基礎の同一性)とは、請求が予想外のものに変更されて被告の防御を困難にすることを防止し、従前の裁判資料を継続利用できるようにすることをその趣旨とするから、新請求の利害関係が社会生活上共通であり、旧請求をめぐる裁判資料の継続利用が可能であることをいうと解する。

   旧請求の請求原因はXYの売買契約締結であり、その有効性が争点となっているところ、新請求である損害賠償請求においてもXY間の売買契約締結が有効に成立していることが前提となることから、旧請求と新請求は利害関係が社会生活上共通している。また、両請求とも争点は売買契約の有効性であり、両請求の裁判資料は継続利用が可能であり、「請求の基礎に変更がない」といえる。

   また、本件は、②口頭弁論終結前であり、③旧請求について審理が熟しつつあり、新請求の審理のために新たな裁判資料が必要となるといった事情により著しく訴訟手続を遅滞させる場合であない限り、訴えの変更の要件を充足する。

(4) よって、上記③の事情がない限り、本件において訴えの変更は許される。

2. では、裁判所は旧請求についていかに扱うべきか。

(1) 上述の複合行為説による場合、交換的変更を訴えの変更の態様として認めないことから、追加的変更として扱い、旧請求について相手方の同意が得られない場合、旧請求について原告敗訴の本案判決をすることになる。

(2) これに対し、独自類型説によるならば、相手方の同意がなくても、旧訴が新訴に有効に変更されたものとして、審理を継続することが可能となる(もっとも、相手方の利益を考慮して相手方の同意を要するとする見解による場合、追加的変更として扱い、旧請求について相手方の同意が得られない場合、旧請求について原告敗訴の本案判決をすることになる)。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第2版〕

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Law Practise 商法 No.46:分配可能額を超える剰余金の配当の効力

第1.株主に対する請求

1. X社のY1に対する462条1項に基づく金銭支払請求は認められるか。

剰余金の配当は、配可能額を超えてはならず(461条1項柱書・同8号)、会社が分配可能額を超えて剰余金配当をした場合、違法配当として、会社は、株主及び業務執行者等に対し株主が交付を受けた金銭等に相当する金銭を支払う義務を負う(462条1項)。

  X社は、分配可能額が5000万円しかないにもかかわらず、剰余金配当として1株150円、総額1億5000万円を株主に支払っている。また、Y1はX社より1500万円の上記剰余金配当を受け取った株主であり、「金銭等の交付を受けた者」に当たる。

  ここで、「金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務」とあることから、請求額は交付を受けた金銭であり、適法な剰余金配当との差額ではない。

  したがって、X社のY1に対する1500万円の支払請求は認められる。

2. では、X社のY2に対する462条1項に基づく金銭支払請求は認められるか。

Y2は、X社より150万円の剰余金配当を受けているが、違法な剰余金配当であることについて善意であることから、善意の株主は業務執行者等からの求償請求に応ずる義務を負わないとする463条1項によりこのような善意の株主は「金銭等の交付を受けた者」(462条1項)に含まれるかが問題となる。しかし、同項は、自ら違法な行為をした取締役等の善意の株主に対する求償を禁反言の法理から禁じる趣旨に過ぎず、「金銭等の交付を受けた者」(462条1項)に善意の株主も含まれると解する。

3. したがって、X社のY2に対する50万円の金銭支払請求は認められる。

第2.取締役に対する請求

1. X社のY3に対する462条1項に基づく金銭支払請求は認められるか。

(1) Y3は、会社の計算書類に虚偽の額の剰余金を計上させており、分配可能額を超える配当に関する「総会議案提案取締役」(462条1項6号イ)に当たる。

(2) これに対し、Y3は、支払義務を免れるために職務を行うについて注意を怠らなかったことを反論として主張することが考えられる(462条2項)。

しかし、Y3は粉飾決算の当事者であり、かかる主張は認められない。

(3) したがって、X社のY3に対する金銭支払請求は認められる。

2. X社のY4に対する462条1項に基づく金銭支払請求は認められるか。

(1) Y4は、当該議案を承認した取締役会決議に賛成した取締役であり、「行為に関する職務を行った業務執行者」(462条1項柱書)に当たる。

(2) これに対し、Y4は粉飾決算について善意であることから、支払義務を免れるために職務を行うについて注意を怠らなかったことを反論として主張することが考えられる(462条2項)。

(3) したがって、Y4が上記証明に成功しなかったた場合、X社のY4に対する金銭支払請求は認められる。

 

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